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映画「スターリンの葬送狂騒曲」の個人的見所まとめ

「スターリンの葬送狂騒曲」がAmazon primeで観れるようになったぞー!と言うことで、早速観ました。映画館で2回観ているので、3回目。やっぱり面白い!本当にオススメな映画です。ただし、史実とはちょっと(だいぶ?)違う。スターリンの生涯については、それぞれ厚さ5センチ近く、三冊合わせて15センチの以下の本を読むといいと思うよ。外出自粛のお供にどうぞ。なお、お値段もそれぞれ5000円します。(白水社は歴史物でいい本多いんだけど、大著も多いからお高いのよね。まぁ、しゃーなし。)

 

ではここから、個人的映画の見所。ネタバレあります。あと大体映画の中の順番に沿って書いてますが、ちょいちょい前後しているのもあるかも。

  • スターリンとベリヤが新しいリストをもとに逮捕を進める最中、就寝中自宅玄関のドアを叩く音に「すわ、自分も逮捕か」と覚悟を決める老夫婦。いざドアを開けたら、蝶ネクタイの男性がラジオ・モスクワまで同行願いたいと伝えるシーン。老夫婦の旦那さんの方は指揮者で、ライブ放送だったのにその録音を所望したスターリンのために、急遽(代役として)パジャマ姿のままで指揮させられるというオチ。「連行じゃなくてよかった」と思う反面、NKVDの連行も、ラジオ・モスクワへの同行も、結局どちらもスターリンの狂気・スターリンへの恐怖という点で変わらないというのが面白い。その前に「スターリンが(ライブ版と新たに演奏し直す録音版の)違いなんかわかるわけない」で一悶着あったり。実際バレなかった模様。まぁ、聴いてる途中で倒れましたし?
  • 同じくNKVDの連行シーン。息子が父親を密告した一家があるのだが、これがまた映画の中盤で「まー、そうなるよねー」って感じで出てくる。
  • 最初から空気の読めないマレンコフ。
  • スターリン重体にもかかわらず、スターリンの容態を気にしない幹部たち。ベリヤはあからさまに死ね死ねオーラを出してるし。多分メイドのおばちゃんが一番スターリンのことを想ってるぞ。
  • スターリンの死後、「スターリンの死(重体)」を知った別荘の従業員その他NKVD将校が皆消される。とは言え、よくよく見るとその場で殺されているのは影武者のみで、メイドや医師は連行なので、ちょっと待遇に差はあるのかもしれない。偉そうに指揮してた人(元々現場の責任者だった?)も後から来たNKVD将校にパーンッてやられるシーンはびっくり。
  • ベリヤの得点稼ぎ。モロトフの奥さんの釈放(モロトフを味方につけるため)、冒頭で逮捕した人々の釈放。収容所で銃殺の時に「同志スターリン!」って叫んだら「今はもうマレンコフだぞ」って言われて、「同志マレンコフ」って言い直したのに撃たれたシーン。その直後に釈放命令が来たからって、去ってゆく職員と、「え?ええ?」って動揺しながら「まぁ、とりあえず行くか」ってギリ殺されずに済んだ囚人たち。「でもベリヤってこういうやつよ」と言いたげに、少女への暴行を示唆するシーンがちょいちょい差し込まれている。
  • マレンコフ、ベリヤにちょいちょい馬鹿にされてムッとする。多分そう言うことの積み重ねが最後につながっている。
  • 圧迫面接感の漂う委員会での「全員一致」。
  • スターリンの亡骸を前にして女性ピアニストが「とても小さい…」と呟く、その両隣りに彼女より背の低いフルシチョフとベリヤ。
  • ジューコフかっこいい。さすがマルフォイのとーちゃんや。
  • 密かにいる周恩来。
  • 主教がスターリンの葬儀に来たことで揉める幹部たち。一応、みんな無神論主義なのね…これも、ベリヤの得点稼ぎ?
  • ジューコフの「look at your fucking face〜」、これ、多分一番の見所。ジューコフ元帥、NKVDに赤軍の役割取られてオコだったもんね。最初から「おれ、笑ってるけど、オコだぞ」って言ってたもんね。
  • 「All of you」の定義で揉める幹部たち。罵り合いが下品になってきたところで、ずっと控えていた少女の耳と目をそっと塞ぐ優しい(NKVDの?)将校?さん。これ、見所その2。因みにこの子、元々はスターリンと少女の有名な写真にあやかろうとしたマレンコフが、写真の少女が成長してしまったから、代わりに「っぽい少女」を探させたのだが、小さすぎてマレンコフと並んでバルコニーから手を振っても、おでこしか見えない…というオチ。
  • 息子の小グマ演説を編隊飛行で誤魔化し終わらせる手法、さすがソ連はスケールが違う。
  • ジューコフがいちいちかっこいい。「今日のデートの相手だ。(バーンと、コートの下に隠してた小銃を見せる)」
  • ベリヤ逮捕の瞬間。どんなに部屋の中で騒いでも、外に控えているNKVDの守衛には二重窓で気がつかれない。マレンコフ、ベリヤの「足首にナイフが」と、ジューコフに教えたのは今までのベリヤの自分に対する態度故か、それとも単にその場の流れに乗ったのか。会議のためにつまみを持って入ったNKVDの将校たちは瞬時に状況を悟って「部屋間違えちゃいました」って逃げたけど、やっぱりその瞬間に居合わせる運・不運ってのはあるよな…と思う。
  • ここからフルシチェフがマレンコフに対しても強気に。裁判開催を訴えたり、処刑の書類にサインを拒むマレンコフに対して、怒鳴りつけて従わせる。この後は怒涛の展開。大騒ぎしながら話は進んで、「パーンッ」で一気に静かになる。

この映画で「ジューコフかっこいい」と考え、以下の本を買って読むと「…なんか違う?」ってなることうけおいです。やっぱり史実と映画は違うのだね。

最近観た映画4本

深い考察とかではなく、単なる感想です。

1)「ナチス第三の男」
だいぶ前に読んで、その小説の手法があまり好きではなかった(が、ハイドリヒ暗殺のことはよく知らなかったので、面白く読めた)「HHhH」の映画化。ということで、観てみたが、うーーーん?なんというか、極めてフツーなのだ。史実に基づいていて結末を知っているからということもあるが、特にハッとするようなシーンもない。一番(違う意味で)ハッとしたのは、開始5分で始まるセックスシーンくらい。あれはびっくり。妹が観たかった・・・と言っていたが、観なくてよかった・・・というのが姉の偽ざる感想です。

2)「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」
これはAmazonプライム・ビデオで観た。メリル・ストリープがメリル・ストリープ。トム・ハンクスは意識しないとわからない。女の戦いと見るか、権力への戦いと見るか。最高なのが、ゲットしたペンタゴンペーパーズをみんなで家で整理するシーン(ページナンバーの偉大さを知る)と、活字が組まれ、輪転機が回るシーン(コンピューターの偉大さを知る)。「てか、そんな風に昔の新聞作られてたのねー!」正直これが一番の感想だった。私の生まれた頃も同じはずだが・・・最後にウォーターゲートビルのシーンで終わったのがグッド。マクナマラ役が「13デイズ」でケネディ大統領やってた人だった。ふ、老けてない・・・

3)「女王陛下のお気に入り」
醜女を巡る美女同士の戦い。たまに一つのシーンをながーいカメラ回しにしてて、それが退屈っちゃ退屈。しかも、まさかの終わり方だった。西洋史は近代以降しか詳しくないので、「そもそも女王(アン女王)はいつの時代の人なのか?」「フランスと戦争してたっけ?」とかそういうレベルで頭の中に?がついたが、まぁ知らなくてもなんとかなりました。てか、イギリス王室ものの映画って、女の戦いものが多いよね。エリザベス一世vsメアリ一世、エリザベス一世vsスコットランド女王メアリー、それからその一つ上の世代のブーリン姉妹。百年後くらいに、キャサリン妃vsメーガン妃の映画がでたりするのかしら?

4)「CITY HUNTER 新宿プライベート・アイズ」
締めはこれ。正直この4本の中で一番面白かった。ただし、面白さはテレビ版を知らないとわからないと思う。要はマニア受けです。最初の100tハンマー、喫茶キャッツアイの設定、それからファン感涙のエンディング。基本オリジナルキャストなので、声がちょっと老けたかなーと思わなくもないけど、まぁそれはしょうがない。美樹さんがバラライカにしか聞こえなかった・・・「止めて、引く」もパーフェクト。こりゃ映画館が混んでるのも納得です。ゲット・ワイルド・アンド・タフ。

ちなみに、10代の頃それはもう熱心なQUEENファンだったのだが、その分大ヒットに気後れてして観ていないのが「ボヘミアン・ラプソティ」。公開前は観る気だったんだけどなぁ・・・今後見たいと思ってるのがクリスチャン・ベールの「VICE」とクリント・イーストウッドの「運び屋」。子ブッシュ時代は我が青春、そしてイーストウッド、なーんか観ちゃう俳優なのです。

映画「帰ってきたヒトラー」の気持ち悪さ

今週末は「帰ってきたヒトラー」がアマゾンプライムでレンタル100円セールだったので、映画館で未損ねていたこともあり、大喜びでポチッとしたのです。・・・したのです・・・が、なんか映画の手法とオチがあまり好きではなかった。正直買わなくって良かったと思いました。 [1]小説版の方は結構楽しんで読んだんですけどね。詳しいオチは2度読んで2度とも忘れておりますが、映画版と違うことは間違いない。

実際の一般人(役者ではない人)を映しているのか、それとも一般人と思わせるために、顔にモザイクをかけているのか、まずその辺の境目がよくわからない。ドイツ中を回って人々の反応を見るシーン、あれはどうも一般人が多そうだぞ・・・でも、けっこうどキツいことを言っているのに顔出ししているのは何故?実生活に問題でるんじゃ?あれは役者だったのだろうか?では、最初のクリーニング屋のシーンは?見たところ、非常に一般人ぽいが???だんだんとテレビ局の人間以外、全て一般人に思えてくる。

となると、次の気持ち悪さというか居心地の悪さは、その一般人のヒトラーに対する態度。「あぁ、ヒトラーは1930年代にこの雰囲気と民意を利用したんだな」とよくわかる。また、映画版では「ヒトラーが本物のヒトラー」と気がつく人間が存在するため、ヒトラーの最終目的がより怪物的というか「こいつマジで天下取る気なんだな・・・」ってよくわかる。小説版のほうでは、秘書の女の子と最終的に仲直りしていたし(それはそれで怖い話ですが)、なんとなく「ヒトラーってそんなに悪い人じゃない?」みたいな空気が漂っていたように記憶している(繰り返すが、今思えばそれはそれで怖い話ですね)。まぁ、小説がそういう感じだから、映画ではわざとオチを変えたのかもしれませんね。

とにかく、一般人の登場とオチの変更によって、小説よりもぐっと現実のドイツ社会とシンクロしているのが映画であり、それゆえに見ている側は落ち着きをなくしてしまう。ヒトラー本人が生き返ることはないだろうが、「ヒトラーのような人」であれば今後出てくる可能性は大いにある。その時にドイツはどうなってしまうのか?「良識派が多かろう。ドイツ国民はもっと冷静さ」と言いたいが、それはこの映画の一般人のシーンにより説得力がない。ましてや、ヒトラーらしくない人間が未来のヒトラーだとしたら、そもそも危ないとさえ思わないんじゃなかろうか?

・・・とドイツの状況を日本人は笑っていられるのか?この映画はドイツの小説をドイツで映画化してるので、ドイツの内在的論理にあふれており、多分それをあまり理解できていないから、気持ち悪さ満点なのだと思う。 [2]ドイツの内在的論理がわかれば、もう少し映画の中の一般人の主張に寄り添えるのかもしれない。「日本では特に移民の問題はないし・・・」とか思っちゃうけれども、多分「それ、気持ち悪いかもよ」と外部から言われないと気がつかない何かを、我々もきっと持っているに違いないと思う。

References

References
1 小説版の方は結構楽しんで読んだんですけどね。詳しいオチは2度読んで2度とも忘れておりますが、映画版と違うことは間違いない。
2 ドイツの内在的論理がわかれば、もう少し映画の中の一般人の主張に寄り添えるのかもしれない。

バンド・オブ・ブラザース

いつかレンタルして観ようと思っていた「バンド・オブ・ブラザース」がAmazonプライム・ビデオになったと分かったのが1週間前。1話1時間あるため、週末だけでは観終えることができず、結局平日の夜に怒涛の3話分を観て、今週は(その後残業が続いたこともあったので)寝不足気味だったりする。全体的としては、「誰が誰だかわからん(戦争モノの宿命)」「分かった頃には戦死しているか負傷してしまう(やっぱり戦争モノの宿命)」「ヨーロッパ西部戦線には詳しくないため、イマイチ状況がわからん」と思いつつも、それはそれで知らなかった西部戦線の世界に足を踏み入れたので、これを機に色々読んでみようと考えている。え?東部戦線だったら詳しいのって?まぁ、スターリンですから。

肝心の「男の友情」はどうも良く分からなかったが、このテレビシリーズ、戦争モノというより、男の友情というより、理想の上司像の話じゃなかろうか。まさかのヒール役で驚いたフレンズのロス・・・ではなく、ソベルとウィンターズの対比、そしてとりわけ無能だったダイクとスピアーズの対比。ソベルは訓練中の上官だし、結局彼のお陰でE中隊は鍛えられたとも言えるが、ダイクの戦場で「部下を気にかけない。いざとなると逃げる」というのは救いようが無かったし、その分スピアーズの勇敢さ(猪突猛進さともいう)が頼もしく感じる。「ちょっと待ってろ」と言って、単身ドイツ軍の中を突っ切って、友軍と打ち合わせをして、また単身戻ってくるだなんて、目の前でやられたら、もう付いていくしかないだろう。結局のところ、人心というのは、その人の持っている優しさ(ウィンターズ)や勇気(スピアーズ)について行くものだと良く分かった。会社のあの人やこの人にも強く視聴をお勧めしたい所以です。

とありきたりな感想になってしまったが、個人的に一番印象に残っているのは、連合軍の勝利が見えてきた9話くらいからの場面。9話と言えば、強制収容所を発見したエピソードで、それはそれでとても衝撃的だったが、私がビックリしたのはアメリカ兵も掠奪を行っていたこと。件のスピアーズは銀製品を集めて回るし、ウィンターズもナチのホテルでカトラリーを盗るシーンがある。今までの教育というか刷り込まれてきた印象だと、「連合軍はそんなことをしない!」はずだったんだが、実際はしてたんですね・・・理想の上司も万事パーフェクトではないし、というより、あの時代はそれが当たり前であって、今の基準で善し悪しを判断してもしょうがないんだろうな・・・と。まぁ、思い返せば、最初の方からドイツ兵のルガーを欲しがったりしてたし、太平洋戦線でも日本軍の軍刀や日の丸をお土産にしてたりするんだった。ということで、理想の上司の掠奪の姿にショックを受けたという方が正しいのかもしれない。え?ソ連兵のほうが酷い?それは知ってる。

 

映画「226」

毎週土曜日、特に用事がなければ、Amazon primeで、ちょっと暗めの映画を観ることにしている。土曜日ならば、翌日1日使って「楽しいこと」をできるし、そもそも夜更かしして「立て直し映画」 [1]コメディなど。最近は「忍たま乱太郎」のアニメ映画の出番が多い。を観ることができるからね。10年以上前、大学生の頃にクリストファー・ウォーケンのイケメン顔につられて「ディアハンター」を観て、そのまま沈んだ経験があるので、沈むとわかっている映画を観るにはそれなりの準備をしているのだ。 [2]しかし、沈むとわかっているのに暗い映画を観るのは一体どういう心理なんだろうね、我ながら。さすがに、映画観て気分が落ちたので仕事休みます、はできないもの。

さて、今日は「226」を観た。私が産まれた翌年の映画で、ちょっと古いのだが、これが思ったよりも沈まない。一般市民が戦争に巻き込まれるとか、社会の不条理とかそういう描写が少ないからか?まぁ、でも本当の理由はわかっている。「誰が誰だかわからない!おかげで最後まで大混乱!!」これに尽きるのだ・・・

初登場の時に、字幕つけてくれればいいのに、せめてお互い名前で何度も呼び合ってくれればいいのに、そういうのが一切ない不親切仕様。なので言動と軍服で見分けるしかないんだが、なにせ私はもともと、磯部・村中・安藤・栗原・中橋しか覚えていない女なので、決起失敗後、青年将校たちが揃って家族の顔を思い浮かべるそのエピソードで「赤ちゃんができたってことは・・・えっと、輸送係だった人かな・・・?(名前は覚えていない)」と、やっとこさ、誰なのかがわかる。最終的にはWikipediaで調べながら、「佐野史郎・・・まさかとは思うが、栗原じゃなかろうね・・・首相官邸組だし・・・うわー!!本当に栗原だった〜!」と映画を観る始末。えらく新婚押しをしていた青年将校は最後まで誰かわからなかった。 [3]坂井直だった。陸軍高官に至っては結局「どちら様?」状態で終わっちゃったよ・・・そして、映画なので一部史実と違う。てか、あの流れだと安藤大尉、一回死んでもう一回銃殺されたっぽいことに。

ま、あれです。この映画の最大の見所は「軍服コート肩掛けのかっこよさ」ですね。若い頃の鶴見辰吾と石橋保ともっくんの軍服姿のまーかっこいいこと、かっこいいこと。まことに眼福である。石橋保は「ガメラ2」でも陸自の制服姿を披露してくれているが、こっちの方もかっこいい。そして、最後のエンドロールが黒背景にピンク文字でぶったまげた。それまでのムードぶち壊しである。あと、栗原が佐野史郎だったことと、映画が野中・安藤・河野の3人にフォーカスしてたのが不満っちゃ不満。中橋の赤マント、もっとしっかり拝みたかった・・・!栗原なんぞ一応奥さんいるのに [4]それなりにすったもんだあったっぽいけど。、回想シーンに出てこないし。奥様かわいそう・・・因みに、もっくんがすっかり弟キャラになってて、蹶起将校のなかで一番若そうにみえるけど、実際のところは佐野史郎(栗原)より階級高いし、歳も一つ上だからね。惑わされないように。

いずれにしても、二・二六事件について、ちょっと詳しめに知らないと、「軍服かっこいー」しか言えない映画だと思います。まぁ、それでも十分見る価値はあるんですけど。

 

References

References
1 コメディなど。最近は「忍たま乱太郎」のアニメ映画の出番が多い。
2 しかし、沈むとわかっているのに暗い映画を観るのは一体どういう心理なんだろうね、我ながら。
3 坂井直だった。
4 それなりにすったもんだあったっぽいけど。

映画「この世界の片隅に」の感想じゃ!

■「ネタバレ上等!」な人だけ読んでええよ■

 

立川まで映画「この世界の片隅に」を見に行ってきた。私は俗に言われとる原作厨ってことになるんじゃろうか・・・原作を買って以来、何度も繰り返し読んどるし、その度に泣いとる。最近はトイレの中に置いておるもんだから出勤前に涙ぐむ日々・・・ううむ、馬鹿かもしれん。ま、そんな感じで原作LOVEな私じゃけぇ、映画化はちょいと心配だった。数年前には終戦記念だったか2時間ドラマになっとったが、その時は水原さん役に速水もこみちじゃった。「水原さんはゴリラの水兵さんだから、周作さんとの違いが際立ってええのに、もこみちじゃ意味がない!」といきりたったりね。愛が深いと色々大変なんよ。で、今回のアニメ映画化はそんな原作厨でも大満足!読んだことない人も是非見て欲しいと思う映画じゃね!!

んで、感想というかツッコミはいつも通り箇条書きで。

 

・とあるエピソードがバッサリ無いと言うのは聞いておったが、まさかリンさんと周作さんの話が無いとは思わなんだ・・・原作を読んでいれば「切り取られた周作さんのノート」とかで、ちょいちょい名残が挟まれているなぁとわかるんじゃけど、読んで無い人には全くわからんじゃろ、これ。それくらい自然にカットされてたといやぁ、そうかもしれんが、どうなんじゃろうね。お陰様で周作さんが単にめっちゃええ旦那さんになってしもうたような・・・原作の周作さんはリンさんと結ばれなくって(家族に反対されて?)、半ばやけくそのようにすずさんを嫁にもらったわけじゃけど、その辺がすっぽりないけぇ「子供の頃に出会ったすずさんへの純愛」みたいな感じになっとる気がする・・・となると、水原さんといい、すずさんめちゃモテじゃないの・・・なんかずるいぞ!

・水原さんについては全くカットされとらんで一安心。てかむしろセリフ増えとらん??納屋のシーンでも、えろう男前に描かれてて、その横顔をマジマジと見つめちゃったわ。(私は周作さんの方が好みじゃけど。)納屋のシーンは、まぁなんとエロいことよ!すずさんの声は声優ではなく、のん(能年玲奈)じゃったが、このシーンでちょっと声が震えているように聞こえるのはさすが女優さんじゃ思うたわ。臨場感ありまくり。一人で観とったのに、隣のインテリ風イケメン眼鏡に憚って照れてしもうた・・・

・個人的に描かれてなくって残念じゃったのは、小学校へお義母さんを連れていく話とお茶碗の話。お茶碗の方は、リンさん絡みだからカットするしかなかったのかもしれんが、小学校のはいれて欲しかったなぁ・・・なぜならこの2つのシーンでは、すずさんが「いいお嫁さん」として他の人たちに褒められとるのです。一生懸命働くすずさんが褒められるシーンが無くなってちょっと残念。

・その他にカットせんで欲しかったなーと思っとるのは「まぶしい周作さんの頭」「防空壕を作る時の周作さんのグエー」「知多さんが太陽を眩しがるシーン」「終戦後、草津から江波の実家跡によるシーン」あたりかな。あと、「台風」。「すみちゃんが生きとる」は見たかった・・・知多さんのシーンも、広島への救援が結果被曝につながってしまうという大事なシーンなんじゃがねぇ。江波の場面もお母さんと鬼いちゃん向けへの張り紙がお父さんの名前のみになっとって、10月以降すみちゃんがそれを直していないことが読み取れるし、家に住み着いた子供は「兄、妹、妹」で浦野三兄妹と同じ構成。原作者のこうの史代さんはこの手を良く使うから、見せて欲しかったと思うわ。

・後は原作にみっちり書いてあった呉の地図や工廠、海軍組織図がなかったか・・・ま、これは映画の中では描きようがないからしょうがないんかもしれんね。でも、広の工場とか、広島との位置関係とか、多少は見せんとわからんもんじゃないんかね?まぁ、私は広島出身じゃけ、もともと土地勘があるんじゃろうが・・・はてさて、他の人はどうじゃったのやら。

・逆に増えとるというか、はっきりくっきり描写されて良かったんが、空襲のシーン。空襲の多さの見せ方はもちろん、空襲の時の音や絵が、ずっとリアルじゃった。焼夷弾やら爆弾の描写もね・・・それから、電車の中で海側のみブラインドを閉めさせるとか、ラジオ放送とか、細かくリアル。さすがブラックラグーンの監督じゃ。(←褒め言葉)人物はデフォルメっぽい絵柄なのに、爆弾だけはえらいリアル・・・その辺も何かが際立っていたような・・・

 

まぁ、だいたいこんな感じです。原作を知っている人からすると、「なんであのシーンないんね!」とちょいちょい残念に思うことがあるかもしれんが、それでもストーリーとしては破綻しとらんし、10人の原作ファンがいたら10人全員が「映画にはこのシーンを入れろ!」というシーンは入っとったと思う。リンさん絡みがバッサリのうなっても、それでも「すずさんが幸せならいいやー」って思えるんが、すずさんのすごいところかもしれん。

広島での平和教育の賜物なのか、単に戦争モノに弱い(なんせ「漫画で学習 日本の歴史」の復員シーンで泣ける)だけなのかはわからんが、しょっぱなの広島の鳥瞰図っぽい画面で「広島じゃ・・・」と涙ぐみ、市電に涙、あれで涙、これで涙・・・とシクシク泣きながら見た割に、化粧が落ちてないのはこりゃ、年の功かね?なんにせよ、ええ映画です。皆さんも是非観てください。

 

ズートピアと人種差別問題

今更ながら観ました、ディズニーのズートピア。主人公の相棒、狐のニックが、私の大好きなロビンフッドから変わらず「THE・ディズニーの狐」であり、等身大の人形売ってたら間違いなく10分くらい買おうかどうか悩むにちがいない、とよく分からない感想も持ちましたが、今回はもすこし真面目な話。

この映画、「(アメリカにおける?)人種差別問題に切り込んだ」と言われているが、果たしてどの動物がどの人種のアナロジーなのか、見る人によって全然違うだろうなぁということを考えた。

映画の中で繰り返されるように「肉食獣は強く、草食獣は弱い」という立場をそのまま受け取るのであれば、一番わかりやすいのは「肉食獣=白人、草食獣=有色人種(特に差別されている黒人、イスラム系)」ということでしょう。でも、これはしっくりこない。ぜーんぜんしっくりこない。何故ならば、映画の中で差別されているのは肉食獣だからである。まぁ、それも陰謀あってことで、その前は力のある肉食獣の方が差別していたのでは?と思われるかもしれないけれども、少なくともそういう描写は一切ないんである。実際ズートピア警察の所長は草食獣で、部下にライオンを従えている。マフィアのボスもネズミで、部下が黒豹や白熊なのだ。それに、草食獣の代表としてウサギ(主人公)や羊がフィーチャーされているが、それに比べて肉食獣のエスニックな印象よ・・・ツンドラだったり熱帯雨林だったり。「普通じゃない場所から来た奴ら」という印象が強い。ウサギの村なんてバリバリアメリカの白人多数の田舎そのものだもの。電車で隣に座ったトラを避ける様子も移民(特にイスラム系?)を避ける市民のようだ。

というわけで「肉食獣=有色人種、草食獣=白人」と見た方が、すっきりくるのだが、となるとなかなか面白いのが「草食獣が武器(毒薬)を持って、肉食獣を凶暴にしている」という点。ディズニーがどこまで意図しているのか怪しいものだが、「アメリカが武器を持って中東に出向くから、イスラム系が牙をむく」と読めなくもないのだ。「恐怖による支配?そうだ!」と言い切る羊はさて、誰のことか?

とはいえ、これはあくまでアメリカの中での見方なのだと思う。なんせ西洋社会に毒されて育った私なので、中東の人たちの気持ちは想像しかできないけれども、やっぱり「平和に過ごしているのに、銃を打ち込んでくるから我々が凶暴になるのだ」とみなせるのでは?もしくは逆に「本来肉食獣である白人は表面上は優しいが、ちょっとしたこと(毒薬=暴力)ですぐにその危険な本性を見せる」と考えられるか?

・・・と諸々考えてみたんですが、まぁ、その人その人の中で、自分の立場を好きにキャラクターに投影できるからこそ、ここまでウケたのかもしれません。とりあえず、モフモフは正義。これは人類共通認識ってことで、ひとつよろしく。

 

「シン・ゴジラ」の感想

ブログをしばらく放置してしまった。女ぶらり温泉旅という名の祖母の介護旅行だったり、実家に帰って留学時代の本の仕分けをしたり、仕事で体力気力を削られたり、「シン・ゴジラ」を父と初めての4DXに感動しながら観たり、「シン・ゴジラ」を一人でじっくり見に行ったり、そんなことをしていたらあっという間に2週間である。ま、平たく言うと「シン・ゴジラ」にハマったのです。というわけで、ここらで感想まとめます。ネタバレ上等な方向け。

 

・そもそも最初のポスターを目にした時「目が小さい。口が裂けている。可愛くない。」と思った。私はバリバリ「VSシリーズ」の世代である。モスラは小学生のころに多分3回くらい観に行ってる。ベビーゴジラとか可愛いゴジラに慣れ親しんでいるんです。今思えばスペースゴジラも可愛めな造形ではないか。どう考えても、シン・ゴジラは可愛くない。・・・がなぜだろう、蒲田のあいつはキモ可愛く感じてしまう。やはり目の大きさがポイントなのだろうか?(目がでかい方が可愛い、ということが今この瞬間に、人間から怪獣までの生物学的一般常識になってしまった気がする。一重の自分に思わぬ墓穴。)

・「こいつのせいで地球や街が危機に陥る」というか弱いキャラがいないのが個人的にポイント高し。思えば、平成ガメラシリーズでレギオンが一番好きな理由もこの辺にある。決して石橋保演じる自衛官のコート姿が超絶かっこいいからではない。ゴジラに対して人間みんなで対処しているのが良いのであって、「か弱いヒロイン(でも子供でも男でもなんでもいいんだけど)がゴジラと心を通わせ」たり、「人類側が最終攻撃仕掛けようとした時にヒロイン(でも子どもでも男でも)が攻撃対象範囲にいて、それゆえに攻撃が中断される」場面がないのが素晴らしいのだ。よく考えてごらん。あの最後の無人新幹線爆弾攻撃の時「あ!東京駅付近に亡くなった大河内首相の娘さんが!攻撃止めろっ!!」「キキーッ!(と新幹線がとまる)」なんてシーン、どんなにそこまでの話の流れがスムーズでも見たくないでしょ。無人新幹線爆弾はあのスピードで見事にゴジラに向かって突っ込むから、「宇宙大戦争」のBGMの盛り上がりもあり、「よし!さすがN700系!(いつも使ってるし、車内充電もできるし)愛してるよー!」と喝采したくなるんである。なお、最初の方のシーンで自衛隊が攻撃できなかった原因である老夫婦(だったよね?)については、なぜか許せるので不問に付す。

・1度目みたときは席が揺れるが故に細やかな内容に集中できなかったのだが、あの折り紙の原理?であの構造図?を解き明かすシーンだけは2度見てもわからなかった。官僚は基本早口、という演技指導があったとのことで、みなさんそれは早口なんです。わからん状況をわからん単語で早口で説明されてもやっぱりわからんかった。

・てか、「シン・ゴジラ」は用語解説がないとついていけない人もいるのではないか?国際関係やら政治についてもそれなりに勉強していないとわからないだろうし、自衛隊用語についても「ひとふたまるまる」とか言われても、時刻のことだとわからない人もいるのでは?「とっか」とかも、例え漢字で「特科」って字幕がついてもわからんだろう。てか、1.5年前の私もわからなかったと思う。

・ちょっと気になるのが、安保理でイギリスの存在感が皆無であったこと。中露が地理的にうんたら、はわかる。アメリカがゴジラに特別な関心を持っているのもわかる。フランスは独自路線、これもわかる。イギリスは一言もでてこない。スパコンのシーンもドイツである。このままでは「安保理ってアメリカ、ロシア、中国、フランスの4カ国なんだな」と認識する人もいるのではないか?・・・って、流石にそれはないか。もし、「イギリスはアメリカの決定に歯向かわない。イラク戦争の時のブレア元首相のように。」という意味を込めてイギリスの存在感がないのだとしたら、庵野監督、それは深すぎて誰も読み解けないと思います・・・

・あと個人的に一番気になるというか良くわからないのが、赤坂先生の立ち位置。「日本はアメリカの属国だ」というもんだから、反米なのかと思いきや、核攻撃は諦めて受け入れるようでもあり、でもそうでもなさそうでもあり・・・それが政治家というものだと言われたら「確かに」と納得するしかないし、「そういう風に人にレッテルを張るのは良くない」と言われたら「おっしゃる通り」とぐうの音も出ませんが、なーんかいまいち良くわからんのだよなぁ。

・石原さとみの演技は結構いいと思う。無理があるのは「日系で、お父さんが上院議員で、あの若さで大統領特使で、女性で見た目もバリバリ日系なのに40代で大統領狙っている」という設定のほうなのだ。英語もあれだけ長台詞言えればいいじゃん。「親の都合でティーンの時にアメリカに住んでいて、これまた親の都合で日本に戻ってきて、日本語の問題とか諸々、普通の日本の大学でやってく自信がないから、ICUあたりに入って、外国人留学生や同じような境遇な子達とだけつるんでいる女」と思えば、バッチリの演技だよ。え?なんか怨念がこもっている?気にしない、気にしない。

・まぁ、見る人を選ぶ映画なのだろうと思う。「対馬で不穏な動きあり」にニヤリとできたり、自衛隊や政府の組織や役職について説明なしでついていけなければ、面白くないだろう。かといってそっちの方面だけ詳しくっても、突然流れ出す「デーンデーンデーンドンドン」や呑川側の看板の猫の写真、「おチビさん」の映像にも反応できなければ、やっぱり面白さは半減。何よりゴジラを観てなければ、過去作品へのオマージュというかリスペクトシーンに気づいたり、伊福部音楽に感動もしないだろうし。それでも、上記3つの全てを満たしていない我が妹が楽しかった!と言っているんだから、面白い映画であることは間違いなし。1度目は素でみて、2回目見る前にTwitterの「#細かすぎて伝わらないシン・ゴジラの好きなところ選手権」のまとめを読んでみると、さらに楽しめるのではないでしょうか。

大体こんな感じ。全体的に「あのシーン、もう一度見たい!」という場面が多く、それと同じくらい「コマ送りで確認したい」という場面も多い。私もやっぱりまた見たい。

 

帝国の残照

コ、コソボが独立したっ!!(←ソースは英語)

なんていうのか、バルカンは専門範囲外だったので、全然気にしていなかったのです。(広い意味では専門ですけど、狭い意味では東アジアの安全保障問題(含・ロシア&アメリカ)なのです、一応。)セルビアは制裁する意向のようですね・・・さて、どうなることやら。因みにバルカン半島と言えばやっぱり旧ユーゴスラビア側が有名ですけど、個人的には逆側(ルーマニアとか)も結構ややっこしい歴史があって苦手です。第一次世界大戦の参戦過程とか3回読んでやっと理解出来たし。大戦後の歴史は未だに理解出来てないし!ややっこしいことこの上ないですけど、結構重要な地域だからちゃんと押さえておきたいです。あ、後どうでも良いですけど、新しいコソボの国旗は結構カッコいいですね。日章旗は兎も角、私のお気に入りであるブータンの国旗と良い勝負です。そういや、歴史の授業で第一次世界大戦後の国境問題についてやってたんですけど、「ルーマニアの北西部には誰が住んでいたか?」という質問に対して、「ヴァンパイア」と答えるアメリカ人、嫌いじゃないぜ・・・(本当の答えはハンガリー系)

ウィルソン大統領のリサーチはとうとう「対華21ヶ条の要求」まで進みました。ここでもやっぱり人種差別問題が絡んでます。「日本がカリフォルニアの排日運動の件について黙るんだったら、南満州くらいくれてやった方が得じゃね?」とか言っている政府高官もいましたし・・・それと、この時点で既に「第一次世界大戦の後は日米戦争」と予測している人が多いという点。イギリスの様子を伝える手紙(電報かも)では「まぁぶっちゃけ、イギリス人は日英同盟そんなに好きじゃないようですよ」とか報告していますし、「この戦争が終わったら、ドイツ、ロシア、日本が同盟を組むかもしれない」と考えている人もチラホラ。こうやってみると、日米間の戦争は根が深いんですよね・・・後、アメリカの対中政策である「門戸開放」なんですけど、あるときはアメリカの純粋な利権追求に使われ、またあるときは中国人に対する人道的思想に使われ、定義が結構アヤフヤであるように思えます。どうもこの辺は、F・ローズベルトの親中政策、そして今の民主党まで、思想的影響がある気がするので、もう少しちゃんと調べてみたいです。出来れば、ローズベルトの資料も(今やっているみたいに)全てさらってみたいなぁ。因みに、今のところウィルソン大統領に対する私の印象は「八方美人」、これに尽きます。

んで、今までに観た映画の感想。沢山あるから簡潔に。

1)大いなる幻影
フランス映画の方です。英語字幕で観たのでいまいち掴めたような掴めなかったような感じなんです。かの有名な「この戦争(第一次世界大戦)は貴族の終わり」というシーンはさておき、「フランス人の貴族って、あれ?ナポレオン後の出戻り組?」とか自身の知識の無さがネックだったとでも申しましょうか・・・「貴族は教養がある=フランス人貴族とドイツ人貴族が英語で会話をする(下流の人間には理解出来ない)」というその当時の身分社会を示すシーンでも「あ、あれっ!?字幕が消えた!・・・ン、英語で喋ってるのか?」とアタフタしたし。極めつけは、キャラクターの区別がつかなかった事。主人公の一人であるフランス人貴族を私は当初、「タラン(整形前)」と識別していたんですが、沢山いたよ・・・タランが・・・orz

2)戦艦ポチョムキン
この映画についてクラスの前で発表しなくてはいけなかったので、なかなか感想らしい感想が無いのですが、意外とあれこれ暗喩的な部分が多いのでそういった目線でみると楽しいと思います。階段を転がり落ちる乳母車は有名ですね、はい。

3)嘆きの天使
ドイツ人が英語で喋っているバージョンを観たので「大いなる幻影」以上に色々大変だったのですが、一緒に観た人が漏れなくド鬱になったというくら〜い映画。主人公の落ちぶれ方が第一次世界大戦前後のドイツを暗に意味しているとも取れるし、また同時に、知識人の凋落とも取れるかと・・・しかし、本当にくら〜い映画です。

4)博士の異常な愛情、または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
思ったよりも短い映画。やっぱりキューブリック好きです。個人的には「ピンクパンサー」でも有名なピーター・セラーズが良い演技(3役)かと・・・偶然の偶然が積み重なって、核戦争へ突入していく様はホント、怖くなります。良く50年近くそのような偶然が起こらなかったものだ・・・そう考えると核の拡散というのはなんとしても阻止すべきことだと思いませんか?

最後にどうでも良いんですが、歴史の授業では、もうそろそろナチスに突入するんですね。んで、ナチスに関する論文集を読んでいるのですが、やれ「ヒトラーは自殺願望があった」「誇大妄想癖だ」「マゾだ」「本読んでいるって『我が闘争』に書いてるけど、あれ、全部ウソ」「近親相姦の性癖がある」etc…ともの凄い。歴史に名を(良い意味であれ、悪名としてであれ)残すというのは、考えものだなと思いました。ま、後世の人間だからこそ好き勝手言えるのですけどね。

(゚∀゚)ラヴィ!!

だめだ・・・「きみのためなら死ねる」のメロディーが頭から離れません。卒論は既に最終段階に突入しました。それについては後ほど書くとして、まず近況など。

Thanksgivingのお休み(5日間)は近所でホームステイをしていたのですが、「キミは歴史系(の特に戦争系)が好きだったよね?」と硫黄島映画ボックスセットを某知人に貸してもらいまして、昨日の昼から夜のかけて黙々と観ていました。流石に「星条旗(父親達の星条旗)」は2回も観たので「手紙(硫黄島からの手紙)」と特典映像、それから「硫黄島の英雄」というドキュメンタリーだけ。イーストウッドの双子映画(「星条旗」と「手紙」)ではやっぱり「星条旗」の方が好きですね。「手紙」の方もいいんだけど、なんかチラホラと「あ〜やっぱりね」ってオチが読める部分が多かったので。まぁ、「星条旗」のほうは原作になっている本を読まないと場面が飛び過ぎて何が何だか良くわからんらしいので、どっこいどっこいといったところでしょうか。グロさも同じくらいかな?まぁ、監督がアメリカ人の割には意外と中立的視点な映画だと思いましたが・・・「パールハーバー」の製作陣は見習うように。(勿論、共和党のイーストウッドと日本大っ嫌いなディズニーの作った映画を比べる方が無謀ということは、気が付かないフリ。)そういうわけで、ドキュメンタリーのほうをより興味深く観たんですけど、あれですね。興味深いけど、決して楽しめた訳でないですね。なんせ映画の中の死体はお人形ですけど、こっちの方はホンモノですもの・・・しかも映画よりグロくは無いんだけど(なんていうのか淡々としているから)、お医者さんにならない限り拝見する事の無い様なアレやコレやまでばっちり映っておりまして、かなり落ち込んでしまいました。テンションを上げるため、「プラダを着た悪魔」をその後に観たんですが、確かにファッショナブルでかわいい映画ではあるけれども、そこまで楽しくないと思ったのは、硫黄島の影響でしょうかねぇ・・・そうそう、ドキュメンタリーのほうは戦場での記録映像がカラーでして、それが個人的に衝撃でした。映画の中では比較的重くて青い色彩で統一されてましたが、実際はかなりのお天気でなんかベトナム戦争辺りの映像を観ている感じ。火炎放射とか夜間艦砲とかむしろ綺麗なほど・・・そう考えると、思っているほどWWⅡは遠い昔の事ではないのかも。後、1945年に作られた政府による広報映画(アカデミー候補にもなったらしい)では「ジャップが!ジャップが!」と言いまくってました。

こんな風に暗い映画やドキュメンタリーを観て良く落ち込んでます。観なきゃいいのにね。後、銀英伝(アニメ)を知っててニコニコ動画の会員の方へ。以下の動画がかなり笑えます。

【ニコニコ動画】銀英伝でファンタ

【ニコニコ動画】[MAD]銀河英雄伝説  檄!帝国華撃団

因みに下のNHKのを観た訳じゃないですよ。実際に観たドキュメンタリーはこちら。両方ともリージョン1なので、ご注意ください。(”Shore of Iwo Jima”ってのが多分海軍で作ったやつ。自信は無い。本家のタイトルは”To the Shores of Iwo Jima”です。)

2012年4月9日追記:ニコニコ動画とドキュメンタリーの情報についてリンク切れしています。