中東に想いを馳せる

おさわり探偵なめこの「なめ子」に似ている、と言われた。そう、こいつである。なめこのくせに、お下げで牛乳瓶底のメガネをかけて「恋の詩集」を読むこいつである。今まで似ていると言われて一番人ではないものが「怪獣」だったわけだが、とうとうきのこまで格下げ?されてしまった。同じきのこならば、せめて松茸とかトリュフといった高級路線でいきたい気もするが、このへんは見た目が色々アウトなので、しょうがない、なめ子に甘んじることにしました。ちなみに、ちょっと前にやっぱり納得できなくって他の人に「似てるって言われたんだけど・・・(違うよね?違うと言って!)」と尋ねてみたら「あー、わかります。」とのこと。チッ。しかし、私が抱えるのは恋の詩集ではなく、イスラム国の本である・・・ということで、今回は中東の話。

 

いったい誰が勧めていたのか忘れてしまったけれど、「だいぶ前の対談ながらその知見は現代にも通用する、復刊は嬉しいものだ」と見かけたので、イスラム国関連本の第一弾として、読んでみました「イスラムの読み方」。 [1] … Continue reading今回も箇条書きで。

 

■部族主義

中東のイスラム教がシーア、スンニ、ワッハーブに大きく分けられることは知っていたし、その宗派の違いが国単位としての敵意の源になっていることも、国内の内戦の元になっていることも知っていた。部族が大事なのも知っていた。が・・・部族の重要性について、認識が足りなかったと反省しましたよ、私は。サウジアラビアは2つの軍があり、サウジアラビア国家警備隊(ホワイトアーミー)は、王家に親しい部族出身者で占められているという。また、オスマントルコに於いて、なぜ奴隷がああも権力を握れたかといえば、部族出身者はスルタンではなく部族への忠誠を優先するから信用ならぬ、こういうわけです。そういえば今年読んだソマリアの本でも部族がいかに重要なのか説明していたな・・・日本は国土が狭い上に、さらに狭い部分に密集して住んでいるし、自然環境に恵まれているし、そもそもの神話からして部族主義ではないので、この辺がちと理解しにくいのですが、国ではなく部族単位で中東を見ないとわからない、という点は納得できた。さらに国家の概念について言えば、ハッジとして(多少の例外があるものの)訪れることを義務つけられているということや、もともと砂漠の遊牧民だったことも、国境意識、ひいては国家意識にも影響があるんだろうな。

 

■オスマントルコの功罪

今まで、アラブ系による王朝とオスマントルコ王朝の区別をきちんとつけたことがなかったんですが、これ、結構重要っぽい。残念ながら、私はこの本を読んだだけでは全部把握しきれなかったので、こちらについてはさらなる勉強が必要です。ただ、オスマントルコがとった「ミレット制」と呼ばれる伝統的な各宗教の宗教的な司法自治権の制度が400年も続いたことが、現在の中東をややこしくしている一因、という点はわかった。オスマントルコは日本における江戸時代みたいなもんで、だいぶシチュエーションは違うけれども、日本人が(実践的な)懐古主義に陥っても、江戸300年の壁を乗り越え、「平安時代に!」「室町時代に!」となりにくいのと同じで、中東でもオスマントルコの400年を跨ぐことが難しいということなんでしょうね。

 

■で、イスラム国は?

さて、ここで謎に思ったのが、イスラム国は部族の壁や希薄な国境概念を突破できるのだろうか?ということ。まぁ、国境については希薄だからこその現状なんでしょうけど、部族についてはどうなんだろう?世界各国からメンバーが集まってきているわけですが、最初のコアメンバーは中東出身なわけで、となると部族主義が少なくとも組織上部に蔓延しているのではないか?それとも、それを超克済みなのだろうか?これは次の本を読めばわかるかな?

 

■「兄弟殺しの慣習法」について

オスマントルコでは、兄弟のうちの一人にスルタンが決まると、残りの兄弟は皆殺し、のちの時代には監禁されるようになったという。これに絡めて、スターリン死後、ベリヤが殺されたことをトルコの影響か?と書いてあったが、これについてはトルコだけではなく、人類全体の考え方でしょう。王朝分裂の危機を防ぐということはどこでも、いつの時代にもあるものだ。

 

最後に一つ突っ込んでおくと、第6章の「イスラム原理主義の台頭と、その行方」、この章はあまり役に立たない。今2015年に復刊して、この本を手に取る読者はアルカイダから連なるイスラム国のことを知りたいと考えての人がほとんどだと思うし、私もそうだったんだが、とんだ肩透かしなんだな。イスラムが他者を見下す、というのは、短絡な気もするけれど文化的に理解できなくもない。が、なぜこの本のこの章で中国の話が出てくるのか?いちいち中国とイスラムを見比べなくてもいいよ・・・中国の本じゃないんだから。

次はイスラム国本丸に乗り込みます↓

 

References

References
1 決して「新書だから早く読み終わるだろう。そうすれば今年100冊読み切れる。ニシシ・・・」という浅はかな考えからじゃないよ。断じて違うよ。

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