戦争不条理小説勝手にランキング

私の中で「第二次世界大戦モノ不条理小説」の読書が一区切りついたので、意味不明度をランキングしてみる。私が意味わからん…ってなった順であり、文学的その他諸々の観点から評価したものではないです。完全に私の個人的見解です。

意味不明度1位 ジョーゼフ・ヘラー「キャッチ=22」

 

不条理を超えて、意味不明。意味不明すぎて、ほんとに意味不明。読了直後に「日本語訳だからわからんのか?英語で読んだ方がわかるのか?」と頭に浮かんだものの、「いや、英語がどんな感じなのかは見てみたいけれど、これをまた通しで英語で読むのは無理。やめておこう」と速攻考え直した。最近ヨーロッパ戦線の爆撃機についての本「ワイルド・ブルー」を読んで、ちょっとだけ「キャッチ=22」への解像度が上がった気がして、(日本語で)読み直そうかなと考えたが、やっぱり思いとどまった。上下巻あって長いし。10年くらいしたら全て忘れて、なんとなく読み直しそうだけど、すぐに思い出して後悔しそう。そんな一冊。

 

意味不明度2位 カート・ヴォネガット・ジュニア「スローターハウス5」

 

時間旅行の部分が不条理よりの意味不明。ちょっと前に読んだため(そしてその後「キャッチ=22」というキョーレツなのを読んだため)、いまいち覚えていないのだが、ドレスデン空襲のシーンより、木靴のシーンの方が印象に残っている。そういうものだ。

 

意味不明度3位 ノーマン・メイラー「裸者と死者」

 

意味不明ではなく、単に不条理。日本語では手に入りにくいため、英語で読んだ本。国際関係ならいざ知らず、軍隊単語は詳しく無いので「noncom」について、愚かにもnon combatと認識しちゃって、「え、戦地でどう考えても兵隊なのになんで?」ってずっと頭を捻ってた。ちなみに正しくはnon commissioned officer、下士官のことです。半分くらい読んだところで「いくらなんでも、おかしいわ」って気がついて手元の辞書で調べて理解できた。それはともかく、話の筋は1位2位ほど意味不明では無いのだが、死んだり、山に登ったり、気がついたら勝ってたり、割と不条理。noncomのこともあり、英語で読んで正しく理解できていたのか不安だったため、図書館で全集に収められているのを改めて読んだけれども、(確か)60年前の翻訳で、日本語が少々古かった。その上、hornetがスズメバチではなく、熊蜂と訳されていたので、誰か新訳出せばいいのに、と思ってます。出勤途中の山手線で読んでたら、乗り合わせた観光客と思わしき外国人にすごくびっくりされて、二度見されたのも思い出。某軍曹がなんでか、銀英伝のオーベルシュタインで再生されておりました。

 

意味不明度4位 イーヴリン・ウォー「誉れの剣」シリーズ

 

こうやって並べると、あれ、普通の小説じゃん、と思ってしまう。でも、やっぱり個々のエピソードは不条理で滑稽なのだよな。最後びっくりするほど綺麗に片付けちゃったし。最初方のおまるの話もね、なかなか意味不明ではある。とはいえ、他の3冊に比べると「イギリス軍だし、実際そういうのもあるのかしら」と英軍に対する知識不足故か、なんだか納得してしまう。こんな雑な理解をされちゃ、イギリス軍もたまったもんじゃないだろう。(少なくとも「キャッチ=22」に書かれているアメリカ軍と、横並びで比べて欲しくは無いだろう。)割と厚めな3分冊なので怯みそうだが、スラリと読める。が、重厚とも言い難いし、嫌いじゃ無いけど、人には勧めにくい一冊になってしまう。「キャッチ=22」くらい突き抜けてると、かえって「意味わからんから、読んでみるといいよ。ホント、意味わからんから」っておすすめできるのだが…

 

他にもグロースマンの「人生と運命」も読んだことがあるけれども、これは戦争そのものの不条理でめいいっぱい覆われていて、なんというか上にあげた本にあるような、ブッ飛んでる感じではないな。イタリア小説の「雪の中の軍曹」も同じ。真面目に戦争の不条理を小説で読みたい方におすすめです。

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