小泉内閣は全体主義的だった?
本家本元ハンナ・アーレントに手を出したいが、「みすず書房は高い」というただそれだけの理由により、未だ読めていない「全体主義の起源」。「読まなくては・・・(でも高い)」という自己問答をかれこれ半年近くやっているので、全体主義というキーワードには敏感でして、そういう流れで藤井聡の「<凡庸>という悪魔 21世紀の全体主義」を読みました。「思考停止」→「凡庸」な人々=「大衆」→「全体主義」というロジックで話は進んでいるんですが、なかなか読み応えがあったのがそれを現代社会に当てはめた第2部、特に第5章から。なんというか、ここから急に思想が強くなるんだな。
なぜといって、少しだけでも思考を働かせていれば、郵政民営化などに何のメリットもないどころか、害悪ばかりがもたらされることなど、誰にでも理解できたにもかかわらず、それをゴリ押しするために小泉首相は解散総選挙を行い、大半のメディアと国民はその郵政民営化を支持し、選挙という重大な国家的行為を通して実現させられてしまったのですからーーそれは、巨大なる「全体主義」現象としか言えぬおぞましき代物だったのです。(P150)
つまりーーユダヤ人をアウシュビッツに送り続けたナチスの「アイヒマン」のように、日本国中の弱者達を失業や貧困といった境遇に送り込み続けている思考停止に陥った人々は、こぎれいなスーツを着こなす日本の一流大学の経済学部の教授達なのであり、彼らこそが似非科学にしか過ぎない新自由主義経済学に対する権威付けに日夜励み、「新自由主義」全体主義運動をその根幹部分で回し続けている「凡庸な悪魔」に他ならないのです。(P239)
郵政民営化と新自由主義に親でも殺されたのか・・・?と、思わず訊きたくなる勢いでしょ?これが200ページ続くのよ。因みに解決方法は提示されておらず、曰く「オルテガによると『バカは死ななきゃ治らない』らしいが、日本国民がそんなにバカじゃないって奇跡を祈ってる」とのことです。第2次安倍内閣の参与かなんかやってるはずなので、読み進めているうちに「これは遠回しに安倍総理が小泉純一郎をディスってるのか?」とか疑いはじめたりしちゃいました。まぁ、そういう意味では面白い本でした。2度と読まないけど。やっぱり早くハンナ・アーレント買おう。