映画「スターリンの葬送狂騒曲」の個人的見所まとめ

「スターリンの葬送狂騒曲」がAmazon primeで観れるようになったぞー!と言うことで、早速観ました。映画館で2回観ているので、3回目。やっぱり面白い!本当にオススメな映画です。ただし、史実とはちょっと(だいぶ?)違う。スターリンの生涯については、それぞれ厚さ5センチ近く、三冊合わせて15センチの以下の本を読むといいと思うよ。外出自粛のお供にどうぞ。なお、お値段もそれぞれ5000円します。(白水社は歴史物でいい本多いんだけど、大著も多いからお高いのよね。まぁ、しゃーなし。)

 

ではここから、個人的映画の見所。ネタバレあります。あと大体映画の中の順番に沿って書いてますが、ちょいちょい前後しているのもあるかも。

  • スターリンとベリヤが新しいリストをもとに逮捕を進める最中、就寝中自宅玄関のドアを叩く音に「すわ、自分も逮捕か」と覚悟を決める老夫婦。いざドアを開けたら、蝶ネクタイの男性がラジオ・モスクワまで同行願いたいと伝えるシーン。老夫婦の旦那さんの方は指揮者で、ライブ放送だったのにその録音を所望したスターリンのために、急遽(代役として)パジャマ姿のままで指揮させられるというオチ。「連行じゃなくてよかった」と思う反面、NKVDの連行も、ラジオ・モスクワへの同行も、結局どちらもスターリンの狂気・スターリンへの恐怖という点で変わらないというのが面白い。その前に「スターリンが(ライブ版と新たに演奏し直す録音版の)違いなんかわかるわけない」で一悶着あったり。実際バレなかった模様。まぁ、聴いてる途中で倒れましたし?
  • 同じくNKVDの連行シーン。息子が父親を密告した一家があるのだが、これがまた映画の中盤で「まー、そうなるよねー」って感じで出てくる。
  • 最初から空気の読めないマレンコフ。
  • スターリン重体にもかかわらず、スターリンの容態を気にしない幹部たち。ベリヤはあからさまに死ね死ねオーラを出してるし。多分メイドのおばちゃんが一番スターリンのことを想ってるぞ。
  • スターリンの死後、「スターリンの死(重体)」を知った別荘の従業員その他NKVD将校が皆消される。とは言え、よくよく見るとその場で殺されているのは影武者のみで、メイドや医師は連行なので、ちょっと待遇に差はあるのかもしれない。偉そうに指揮してた人(元々現場の責任者だった?)も後から来たNKVD将校にパーンッてやられるシーンはびっくり。
  • ベリヤの得点稼ぎ。モロトフの奥さんの釈放(モロトフを味方につけるため)、冒頭で逮捕した人々の釈放。収容所で銃殺の時に「同志スターリン!」って叫んだら「今はもうマレンコフだぞ」って言われて、「同志マレンコフ」って言い直したのに撃たれたシーン。その直後に釈放命令が来たからって、去ってゆく職員と、「え?ええ?」って動揺しながら「まぁ、とりあえず行くか」ってギリ殺されずに済んだ囚人たち。「でもベリヤってこういうやつよ」と言いたげに、少女への暴行を示唆するシーンがちょいちょい差し込まれている。
  • マレンコフ、ベリヤにちょいちょい馬鹿にされてムッとする。多分そう言うことの積み重ねが最後につながっている。
  • 圧迫面接感の漂う委員会での「全員一致」。
  • スターリンの亡骸を前にして女性ピアニストが「とても小さい…」と呟く、その両隣りに彼女より背の低いフルシチョフとベリヤ。
  • ジューコフかっこいい。さすがマルフォイのとーちゃんや。
  • 密かにいる周恩来。
  • 主教がスターリンの葬儀に来たことで揉める幹部たち。一応、みんな無神論主義なのね…これも、ベリヤの得点稼ぎ?
  • ジューコフの「look at your fucking face〜」、これ、多分一番の見所。ジューコフ元帥、NKVDに赤軍の役割取られてオコだったもんね。最初から「おれ、笑ってるけど、オコだぞ」って言ってたもんね。
  • 「All of you」の定義で揉める幹部たち。罵り合いが下品になってきたところで、ずっと控えていた少女の耳と目をそっと塞ぐ優しい(NKVDの?)将校?さん。これ、見所その2。因みにこの子、元々はスターリンと少女の有名な写真にあやかろうとしたマレンコフが、写真の少女が成長してしまったから、代わりに「っぽい少女」を探させたのだが、小さすぎてマレンコフと並んでバルコニーから手を振っても、おでこしか見えない…というオチ。
  • 息子の小グマ演説を編隊飛行で誤魔化し終わらせる手法、さすがソ連はスケールが違う。
  • ジューコフがいちいちかっこいい。「今日のデートの相手だ。(バーンと、コートの下に隠してた小銃を見せる)」
  • ベリヤ逮捕の瞬間。どんなに部屋の中で騒いでも、外に控えているNKVDの守衛には二重窓で気がつかれない。マレンコフ、ベリヤの「足首にナイフが」と、ジューコフに教えたのは今までのベリヤの自分に対する態度故か、それとも単にその場の流れに乗ったのか。会議のためにつまみを持って入ったNKVDの将校たちは瞬時に状況を悟って「部屋間違えちゃいました」って逃げたけど、やっぱりその瞬間に居合わせる運・不運ってのはあるよな…と思う。
  • ここからフルシチェフがマレンコフに対しても強気に。裁判開催を訴えたり、処刑の書類にサインを拒むマレンコフに対して、怒鳴りつけて従わせる。この後は怒涛の展開。大騒ぎしながら話は進んで、「パーンッ」で一気に静かになる。

この映画で「ジューコフかっこいい」と考え、以下の本を買って読むと「…なんか違う?」ってなることうけおいです。やっぱり史実と映画は違うのだね。

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