「セックス・イン・ザ・シー」マラー・J・ハート

 

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読了日:2021/11/26


  • 海の生態系への人間の影響というと、乱獲やゴミや石油、汚水による海洋汚染が真っ先に頭に浮かぶが、音や匂い、フェロモンなどによる性行為への影響もかなりある。
  • 広い海の中、乾いた陸上とは違う仕組みで性行為が行われる。「乱行パーティー」タイプの生物の場合は、そこを漁師に一網打尽にされがち。また、本来一番好ましい遺伝子を持つはずの体の大きな個体が、(オスでもメスでも)漁によっていなくなることも、生殖活動に悪影響を与える。
  • そもそも海の生物は性のあり方が陸上動物(哺乳類)とは結構違う。メス→オスに変化するタイプ、その逆、どっちにもなれる、最初から両方ある、など。
  • カブトガニの悲哀。

カブトガニの立場になって、そのやるせない思いを想像してもらいたい。小さな脚を使って何キロにも及ぶ砂の斜面をひたすら登り続け、どうにか砂浜近くまで到達し、メスを発見してしがみつき、何日間も力のかぎりくっついて、ようやく目的を果たそうとした瞬間、二本足で歩く頭のおかしな吸血鬼に捕まり、針を突き刺されて血を抜き取られ、すっかり干からびた体と甲羅とともに再び砂浜に戻される。せっかくのお楽しみが台なしだ。

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