「目に見えない戦争 デジタル化に脅かされる世界の安全と安定」イヴォンヌ・ホフシュテッター

購入日:2022/09/23

読了日:2023/02/12


読み進めるにつれ「そうだそうだ、ドイツ人が書いた本なのだった」と思い出す。全体を通して、私の理解力の問題だろうけれども、わかりにくいところが多かった。結局、ハイブリッド攻撃に対する軍事的反撃にproなの?conなの?、じゃあハイブリッド攻撃に対するオンラインネットワーク上での反撃は?等々。中国の一路一帯やロシアの動きを表す「レントの論理」という用語には膝を打った。P255の表が簡潔にまとまっている。

以下、何ヶ所か抜書き。

ハイブリッドな脅威の核心は、被害者が防衛や軍事的反撃に出られないところにこそあるのだ。

P60

武力の投入という手段が、背景に押しやられるか、そもそも話題にも上がらずにいるとき、転覆活動とハイブリッド攻撃は情報空間の力に相当に頼らざるをえない。その際には、事実、世論における信頼、自由で理性的な政治状況の理解、合意形成といったものを切り崩していくことが功を奏する。そのような局面において、疑念や不信感、社会の分断に火を点けるための、感情に訴えかける煽情的なもう一つの事実が姿を現す。

P95

政治キャンペーンと意図的戦略的コミュニケーションのためにオンラインプラットフォームをむやみに使用することは、特に私たちドイツ人にとっては軽薄な、あるいは危険な行為とも言える。なぜなら、ドイツ史の暗い時代、国民に特定の意見を故意に植えつけたのも物語性だったからだ。

P101

→常々思うのだが、ヒトラーやゲッペルスがこの時代にいたのならば、SNSやスマートウォッチ(健康改善機能付き)を見て狂喜して、それはもう最悪にうまく使いこなすのではないか?

意図しているか否かにかかわらず、攻撃者は被害者による「情報第二撃能力」を、かなり前の時点で回避できる。攻撃者自身のオンライン・コミュニケーションなどの情報空間が、国家によって管理・検閲されているからだ。

P105

知能機械が客観的に偏見なく判断するというのは、おとぎ話にすぎない。これらの機械による判断は、概して機械的判断の材料となる元データの質以上のものにはならないのだ。

P170

→文脈には関係ないけれども、ちょうど読了時点でデータサイエンスに興味を持って勉強している身としては耳が痛いばかり。

世界秩序を変えるのをやめてくださいと訴え、議論をし、これまでのように過去を夢見続けていても、民主主義を維持し、貫いていくことはできない。確信に満ちた民主主義政治は外交、情報技術、軍事、経済面のあらゆる方法や道具を利用することによってのみ、効果を表しうるのだ。

P268

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