鉄の棺よ、大西洋で眠れ

さて、お久しぶりです。本当はユダヤ史について書きたいような書けるような気がしているのですが、本を読みきらないうちに記事にしちゃうのが私の悪い癖なので、今回は読了後の本の紹介。

潜水艦(submarine)と言えば、アメリカだろうと中国だろうと日本だろうとsubmarineなのに、Uボートと言えば2つの大戦で活躍したドイツの潜水艦しか意味しないのは何でかな、と思っていたら単にUが「Unterseeboot」のUだったかららしい。しかも、当時はこまめな換気が必要だったし、潜水艦の能力的にも浮上して攻撃したり、移動する方がメインだったため、潜水艦というより「潜水能力もある水上艦」ってイメージの方がよいということを知らずに読み始めたヘルベルト・ヴェルナーの「鉄の棺」、これがなかなか面白い。

海の上(中?)の話も面白いのですが、まず地上のお話で印象的だったのが、フランスの潜水艦基地がある地元民の態度。ドイツがブイブイ連合国の船団を沈めているときは、哨戒任務から帰ってきたUボートと乗り組み員を桟橋まで花を持って迎えにきたり、出発のときは楽団の演奏とともに見送ったりしていたのに、雲行きが怪しくなってくると、親ドイツ的態度は鳴りを潜め、最終的にはドイツ側も地元民はスパイの可能性が高いとし、潜水艦の出撃時も夜間ひっそりになってしまった…という見事に「盛者必衰」とか「長いものに巻かれろ」な態度でドイツ人に接しております。勿論、ドイツがまだ強かったときにドイツ人と付き合ったフランス人の女の子は街にいられなくなったりしているので、その辺は一線を越えてコロッと態度が変わったという訳ではなさそうですけどね。

また、海の中の話で印象的だったのが、最初の方に出てきた「沈んでしまった潜水艦の中を前に後ろに乗務員が走り回って、体重で振り子のように潜水艦を揺らし、浮力を獲得した」というエピソード。潜水艦と言えば映画「レッドオクトーバーを追え」の世界に生きている私からすれば、「走り回って潜水艦が揺れるんだ」「それで浮力が獲得できちゃうんだ」というのがビックリ。なんとなく絵として想像できるっちゃ出来るのですが、それだけ当時の潜水艦は小さかったしコントロールがきかなかったということをしみじみ感じました。一応調べてみたら、よく耳にする?アメリカ海軍のロサンゼルス級で120人の乗組員だから、乗っている人間の数が3倍になっているんですものね。そりゃ大きさも違うか・・

そして、先に書いた通り、当時の潜水艦は潜水艦というより「いざってときに海の中に潜れる水上攻撃艦」に近い状態だったため、対飛行機用の機銃を装備していたのも、現在の潜水艦に慣れ親しんだ人間からすると??な印象があります。「潜れば良いじゃん」と思うものですが、なんせ当時はずっと潜っていられなかったし、発見されてから潜るまで間に合わない場合もあったので、機銃で防御する必要があったんですね。因みに、対船だけではない装備を甲板に備え付けていたということから考えれば、発売当時、読んでて失笑してしまった「終戦のローレライ」の主砲もあながち間違いではなかった…ということで、関係各位には当時の私の態度についてお詫び申し上げます。

長くなってきたので、その他のポイントは簡単に。

・ドイツのUボート船長側からの描写のため、連合軍がどうして最終的にUボートを壊滅できたのか、結果しか描写が無いため分かりにくい。そのためその辺をカバーするには他の本を読んだ方が両面から理解できるので、良いかもしれません。私はポール・ケネディの「第二次世界大戦影の主役」という本を先に読んでいたので、何となく理解できました。物覚えが悪いので、パーフェクトには理解できてないと思う…

・戦争の悲哀という観点からすれば、海上戦については続々と沈んだor連絡がつかなくなったUボートの艦名が続くところ、そしてドイツ本土について言えば、ベルリンの恋人やフランクフルトの家族のシーンが、ドイツ社会における戦争の状況をリアルに描写しているところがポイント

・主人公、女の子に手出し過ぎ…こんなものなの?

・いつかブンカー見学してみたい。

 
  

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