スーダン内戦とロストボーイズ

現在、粛々と読み進めているのが、雑誌ELLEの読書特集でナタリー・ポートマンがオススメしてたのがDave Eggersによる「What is the what」。スーダンのロストボーイズの一人であり、後にアメリカへ移住したValentino Achak Dengの半生を綴った本です。

ロストボーイズの定義は以下の通り。

第二次スーダン内戦時(1983年〜2005年)に、住んでいた場所を追われて孤児となった、スーダン南部のヌエル族やディンカ族の男の子たちの集団の呼び名である。この内戦で約二百五十万人の南部住人が殺され、数百万人が居住地を追われた。「ロストボーイズ」の名は、子どもたちが避難生活を送っていたケニアやエチオピアの難民キャンプで、職員たちからそう呼ばれてついた。(Wikipedia

まだ半分ちょっとしか読んでいない上に、ちょうど今読んでいるところが、最初の難民キャンプにおいて、スーダン人民解放軍(SPLA)が大人はもちろん、少年(10歳くらいの子も!)を軍事キャンプへ参加するよう演説し始め、また難民キャンプにおいても「国連職員から尋ねられてもSPLAなんて聞いたことありませんと言うように」だとか「国連職員に話しかけないように」とか、締め付けがキツくなり始めて、続きが気になるところなんですが、今現在の考えをまとめておきます。

まず、私の場合、アフリカ大陸にはエジプトにしか行ったことがないため、いまいちアフリカの街や村について想像がつかないのが問題。なんとなーく想像してみるんですが、「うーんこれは、東南アジアの田舎の風景だよな」となる。カンボジアには行ったことあるからね。エジプトの場合は、コンボイであっちこっち行くもんだから、田舎の風景をあまり覚えていないし・・・ヨルダンは完全に違うし・・・よく考えてみると、アフリカを題材にした映画もロクに見たことがないんですよね。後でituneでブラックホークダウンでも借りてみようかしら?でもまぁ、想像できないからといって全く理解できないわけではないので、なんとなく理解したつもりで読み進めてます。ついでに言えば、難民キャンプの様子もちゃんと知らないから・・・こうやって書いてみると、如何に自分がアフリカについて知らないか身に沁みますね。多分それは、私が国際関係論専攻の日本人であることが原因で、国際関係論はほとんどが大国の理論、つまり欧米と、アジアからだと日本、中国、インドくらいが考慮の対象であり [1] … Continue reading、後者の日本人としては、やはりアジアに視点がいくからでしょう。アフリカなんて、白地図で国の場所と名前を覚えるのに一苦労した記憶しかない・・・そして、私はこの程度の知識しかないから、今までアフリカに興味が向かなかったし、同じく興味が向かない人が多いから、例えば少年兵の問題とか、民族間の紛争とかに対して、国際世論が動かないのかもしれない。実際問題、この本を読み始めてからアフリカにおける少年兵問題とか、アフリカ各地の民族紛争に興味が出てきたくらいだもの。興味には取っ掛かりがないとダメだという良い例です。 [2] … Continue reading

その他、読んでいてこれはと思ったのが、ムラヒリーンだったかスーダン政府軍だったか失念してしまったけれども、ディンカ族を「安全な土地へ連れていく」として、列車に詰め込む場面。男性と女性&子供に車両を分けて貨物列車に詰め込んで輸送するのですが、この場面を読んで思い出したのが「戦場のピアニスト」で主人公の家族が貨物列車に押し込められるシーン。ナチスによるものは、老若男女問わず絶滅収容所への輸送が目的なので、本の中のように、男女別にはしていないけれども、ひどく似ていると思いました。「(使い方完全に間違っているけど)人を一番多く、いっぺんに、効率的に運ぶのはやはり鉄道と船なのか・・・」と考えたり。結局、ディンカ族の場合も男性が詰め込まれた車両は途中で燃やされ、女性車両は燃やされはしなかったものの、元々最初の襲撃のシーンから、女子供は奴隷として連れ去られていたので、決して難を逃れたわけではないことは明白で、それがまた「戦場のピアニスト」のシーンとダブってしまうのです。

ちなみに、本書はアメリカにおける差別というか、無関心についても触れられており、時系列としては「アメリカでの話」と「スーダン(と難民キャンプ)での話」の2本立て。今はスーダンのパートを読んでいるのだけど、アメリカでの話もなかなかハードでどう終わるのか気になるところです。年内に読み終わるといいなぁ・・・

 

References

References
1 もちろん、国際関係論にはアフリカやら南アメリカについて触れるものもありますが、私が勉強した理論はユーラシアとアメリカ合衆国がメインだった。
2 ちなみに、Wikipediaによれば、ロストボーイズについて日本語になっている本はたった1冊。英語で本や映画などになっているのは28作。この辺の違いも興味深い。

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