RMA

昨日の昼過ぎから、アメリカ人の知人(数独の提供元)から同じ内容のメールを計50通以上送られてくるという怪現象が発生していまして、10分毎に自動チェックするウチのメールソフトの受信箱が凄い事になっています。一応、相手先にも報告したんだが、何か新手のイジメかと思った、マジで。

んで、今日は「GREもTOEFLも終わり、サマースクールも残すところ後2週間なので、落ち着くことが出来そうな予感もするのだが、15ページのエッセー書かにゃならんから、やっぱり落ち着けないんだろうな」という感想で始まった月曜日でありました。授業の方はRMAの話に移っていまして、クラウゼヴィッツの頃よりは、文献も現代モノのため、かなり読み易くなって、有り難い限りです。RMAっていうのはRevolution of the Military Affairsの略です。間違っても「ラオウ、マミヤ、アミバ」の略ではありません(←悲しい事に授業中にフッと思いついた)。

で、文献を読む限り、今起こっているRMAは主に技術進化によるもので、「Revolution(革命)ではなく、Evolution(進化)に近いのではないのだろうか?」だとか「結局、技術が進化したとしても、それに伴い軍指導部のあり方も変えないと意味がない」だとか「情報の獲得、4軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊)間での情報の共有、攻撃後の評価といった分野での能力アップが必要」だとか、まぁ、色々あるようです。基本は情報らしい。それは孫子が大分前から言っていたじゃないか・・・!と突っ込みたいんですけど、まぁ、それはそれ。んで、特に下の本の筆者でもあるWilliam Owensの文献はペンタゴンでの勤務経験や湾岸戦争の裏話がかなり楽しかったです。旧陸&海軍間の不仲も有名ですけど、アメリカの4軍の関係も結構凄い。詳しくは書きませんが、湾岸戦争の間、爆撃機によるミッションの命令書(というか説明書っていうか)を伝達するのに、海軍と空軍間の情報共有(伝達方法の共有)が出来なかった為、海軍は毎日わざわざ沖合の艦隊まで出向き、そこで命令をプリントアウトして、そして更にそれをコピーしてという作業をしていた・・・などなど。かつての記事でStates of Denialによるとラムちゃんが国防長官に再びなった時に、ペンタゴンで「キーッ」ってなってたとか書いた記憶がありますが、今思うと、ラムちゃんに同情の余地は十分あると思う。(実は結構ラムちゃん好きなんですよ、私。野心満々なところとか、多いに結構じゃないか!)

まぁ、そんな感じでRMAなのですが、ここで謎なのが(←文献を読む限りですよ、勿論)「RMAは技術革新によるものだ!」ということ。まー、確かにそりゃそうでしょうけどさ、国際関係の変化も大きいと思うんだよね。確かに湾岸戦争辺りからコンピューターがメジャーになってきて、お陰でより正確な情報所得方法(偵察衛星とか、無人偵察機とか)や、より精密な誘導ミサイルが登場しました。でも、冷戦の構図が崩れた事によって「Deterrence(核抑止)や全面戦争(冷戦中に予想された核戦争は基本的に全面戦争だと思う)の可能性が減った→軍の構造変化も必要」っていう要素も無視出来ないと思う。文献よると、軍事の歴史は「Age of Tools(道具の時代)」「Age of the Machine(機械の時代)」「Age of Systems(システムの時代)」「Age of Automation(自動化の時代)」の4つに分ける事が出来て、それぞれ「〜モンゴルの侵攻」「ナポレオン〜南北戦争」「飛行機、レーダー、電撃作戦」「冷戦、湾岸戦争〜」が有名な例として出ている訳です。確かに、Tools時代とMachine時代の間には銃の発明があるし、Machine時代とSystems時代の間には航空機、Systems時代とAutomation時代の間にはコンピューターと何らかの革命的技術革新が存在している訳ですよ。(最も、最後のSystems-Automationはちょっと微妙だけど。コンピューターとそれによるコミュニケーションは冷戦後だし。冷戦は半分くらいsystem期に入るのかも知れない。)でも、同時に(順番に並べると)「フランス革命、国民国家の成立」、「第一次世界大戦による、balance of powerの終焉」「冷戦の終焉(冷戦の開始も上の例からするとここに入るかも知れないけど、どうも違うと思う。筆者は何を思って冷戦をAutomation時代に組み込んだんだろう?)」って大きな国際関係上の変化がある訳ですから、その辺も見逃せないと思うんですよねぇ・・・極端な例ですが、日本に火縄銃がもたらされた時、確かに戦術面では長篠の戦いが代表する通り、変化があったと思います。でもさ、結局その後も暫くサムライの世の中だった訳で、画期的な技術を手に入れたからといっても、日本の戦争の仕方はあんまり変わらなかった訳だ!同じように幕末〜明治にかけて、完全に軍人(武人)のあり方が変わったのは、西洋の技術というよりは、日本社会そのものが変わったからに他ならないのは自明だと思うんだが、どうでしょう?

という訳で、結局何が言いたいかと言えば「技術革新がRMAのキモらしいけど、世界情勢の変化ってのもあると思うよ」ってことでした。ま、逆から見ると、「技術革新→戦争の仕方が変化→国際関係の変化」ってものもまた正しいんでしょうけど。

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