高山宏の「見て読んで書いて、死ぬ」を読んで死んだ
本のタイトルがこんなんだから、GW中、家族に鼻白まれながら読んだ。タイトルもだけれど、厚さと表紙もお気に召さなかったらしい。「いいじゃんさ、別に。中身は書評だし」と怒っても理解されないし、今更理解されようとも思わない。今回はこの書評録を読んで、気になった本を羅列しようと思う。
・・・とその前に、読んでいてひとつ連想したことがあったので、自分のために記録しておく。映画「もう1人のシェイクスピア」について
(前略)火を放たれた劇場の残骸の中から問題の手稿を掘り出すシーンは多分、「薔薇の名前」(一九八六)の図書館炎上シーンと表裏になっている。(P496)
とある。これを読んで思い出したのが「デイ・アフター・トゥモロー」で本を燃やして暖を取るシーン。主人公(の息子)と一緒に図書館に残ることを決めた男性がおり、この人は中々の知識人の様子。若者と英語を理解しない外国人とホームレスが(つまり、本の価値がわからないやつらの典型的なタイプということ?)、バッサバサと本を火にくべる場面、グーテンベルク聖書を抱きしめての会話がこんな感じ。Jeremyさんが件の男性です。
Elsa: What’ve you got there?
Jeremy: The Gutenberg Bible… it was in the Rare Books Room.
Elsa: Think God’s gonna’ save you?
Jeremy: No… I don’t believe in God.
Elsa: You’re holding on to that Bible pretty tight.
Jeremy: I’m protecting it.
[pause as Elsa glances at J.D. throwing books on the fire]Jeremy: This Bible… is the first book ever printed. It represents… the dawn of the Age of Reason. As far as I’m concerned, the written word is mankind’s greatest achievement.
[Elsa gives a light snort]Jeremy: You can laugh… but if Western Civilization is finished… I’m gonna’ save at least one little piece of it.
彼は燃える(正確には凍る)図書館から本を救ったんだな。薔薇の名前とはまた別の結末なわけだけど、私の頭の中で線がピシーッと繋がってしまった。単なるパニック映画と思いきや、侮り難し。映画の中で明確に描写はされていないものの、英国王族を凍死させるわ、その後の世界では南の国=発展途上国が国際関係上、力を増しそうな予感をさせるわ、結構色々ブッ込んできているね!
さあ、本題に戻って、気になった本を羅列。
- 「暗号辞典」吉田一彦、友清理士
- 「大英帝国という経験」井野瀬久美恵
- 「モスラの精神史」小野俊太郎
- 「自然界における左と右」マーティン・ガードナー
- 「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」橋本治
- 「ウィルソン氏の驚異の陳列室」ローレンス・ウェシュラー
- 「イコノロジー研究」エルヴィン・パノフスキー
- 「愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎」小宮正安
- 「デパートを発明した夫婦」鹿島茂
- 「道旅行の歴史 19世紀における空間と時間の工業化」ヴォルフガング・シヴェルブシュ
- スティーブン・カーンの文化史シリーズ
- 「綺想迷画大全」中野美代子
- 「人間と象徴」カール・グスタフ・ユング
- 「秘密の動物誌」ジョアン・フォンベルタ、ペレ・フォルミゲーラ
- 「ウーマンウォッチング」デズモンド・モリス
- 「ウェブスター辞書と明治の知識人」早川勇
- 「ボディ・クリティシズム」バーバラ・M. スタフォード
- 「美術館の政治学」暮沢剛巳
- 「神々の闘争」安藤礼二
- 「「敗者」の精神史」山口昌男
- 「富豪の時代 実業エリートと近代日本」長谷健
- 「肉体と死と悪魔」マリオ・プラーツ
- 沢木耕太郎のキャパについての本
全部読める日が来るのだろうか?多分、こない。これでも結構浅く広く本を読んでいるつもりだけど、未知の世界が広過ぎて、迷ってしまいそう。というか、今回高山宏のせいで人文学の樹海で迷って死んだ。Wunderkammerと名付けたブログを運営しているくせにね。精進が足りないなぁ。