なんとなく、怖かわいいの・・・「江戸の怪奇譚」氏家幹人

変に紹介するより、読んでいただいた方が早い!のだが、幾らなんでも、それで終わるのは如何なものかと思うので、簡単に説明。

まず、最初に出てくるのが神隠し、そして天狗の話。「美少年は攫われやすい」らしい。美少女の誘拐では感じられない、お耽美さが初っ端から爆発です。天狗について、いわゆる妖怪の天狗ではなく、「天狗っぽい人」ではないか?と明らかに疑って神隠しの章は終わっているので、やはり「怖いのは人間」ということなのか。少女の神隠しに性的なものがないわけなかろうが、それがあまり話に上がってこないのは(この本に取り上げられていないだけなのっかもしれないが、それはそれで)、少女の場合、そういった話がタブーであるから、とも言える。つまり、公言したり、それについて周りの人が聞けるようなものではない、ということで、この辺が社会における扱いの少年との差なんでしょう。

その後、河童、奇病(人面瘡など)、猫又、江戸城におけるいじめに耐えかねたプッツン型殺傷事件、大奥での女社会で生き、そして江戸城炎上で焼死した少女の幽霊・・・などなど続くのですが、個人的にヒットしたのが、狸の話。とある武家に使えた老女に夜な夜な訪れる17〜8歳の奴僕。その正体は屋敷の裏に住んでいた狸で、正直で心優しい老婆と語り合いたかったから・・・なんて、ほっこりしませんか?我が家にも狸に来て欲しい。(まだ老婆ではないが。)

この本でちょっとディープな江戸に興味を持ったので、早速「美少年尽くし」とか「悠悠自適 老侯・松浦静山の世界」とか、「江戸の少年」とか「大江戸死体考」を手に入れました。GWは江戸三昧ですな。

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