昭和の新語

アメリカ様は、日本を未曾有の惨事へと導いた財閥を解体せしめ、悪法を廃止してくださった。いずれ財閥と同じく戦争への道を作った官僚もなんとかしてくださるだろう…という観点から、軽い文体で政府や出版人を揶揄しまくっているこの本で、一番面白かったのが「昭和時代に流行した新しい言葉」。明治大正時代にはなかったとのこと。意外な言葉が挙げられていたので、ここで書き出してみる。

この辺は納得感が強いもの。(納得感があるものは多いので全部じゃない。)

前線 共栄圏 統制経済 隣組 疎開 総動員方 玉砕 撃ちして止まん 防空服 闇市 進駐軍 外食券 千人針 

意外だと思ったもの。

産業戦士 交通整理 自爆 時差 横流し 栄養失調 協調 勤労奉仕

自爆は「使う機会は無かったかもだけど、言葉としてはありそうなのに」と思ったが、よくよく考えると、使う機会がない言葉は確かに存在しないのかもしれない。この辺深く考えていくと、唯名論、実在論の話になってしまうので、今日のところはパス。産業戦士や交通整理は、大正時代くらいならあってもおかしくなさそうだが、無かったんだなぁ。勤労奉仕とかは室町あたりからあってもおかしくない響きだが、それは「奉仕」部分であって「勤労」は確かに近代の概念なのかもしれない。栄養失調について、宮武外骨は別項を設けている。栄養不良という単語はあったらしいので、なぜ不良が失調になったのか、気になるところ。

一番びっくりしたのが「協調」。うーん、確かに言われてみると、なんとなく響きに昭和感はある。「協」は「共栄圏」「五族協和」の「キョウ」と聞こえ方が同じだし、「調」の方も栄養「不良」が栄養「失調」になったことを鑑みるに、昭和時代のお気に入りの漢字なのかもしれない。

こんなふうに、後から見ると「え、この言葉はこの時代に生まれたのか!」というのが、今の世でもそこそこあるんだろう。コロナ絡みだと「三密」とかは、100年後あたりには、今、我々が「疎開って昭和時代にできた言葉なんだ。まぁわかる」と言うのに似た扱いになっていそう。

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