映画 World Trade Center
さっきまで観てましたよ、この映画を。激しくネタバレしちゃいます。けど、ネタバレしたからどう、とういう映画でもない気がする。(ネタバレする価値もない、という訳ではなく、ネタバレをしてもしなくても映画を観に行く価値は変わらないだろう、ということ。)一応、注意書きということで。えぇ。
私はテレビのコマーシャルをみてた限りの想像で、もうちょっと実際にビルが崩れるまでの部分に焦点が当てられていたのかと思っていたんですけど、貿易センタービル、あっさりと崩れます。話の中心はその瓦礫の下に閉じ込められた警察官達、ひたすら夫の生存を信じたいその妻達、更には生存者を助け出そうとする海兵隊員。淡々と彼らの状況が映し出される訳です。もう映画というよりもドキュメンタリーを観ている感じ。実際のテレビの映像も何度も何度も映し出されていましたしね。飛行機が突っ込んだ直後、オフィス街に紙が舞い落ちる様子など本当の(事故当時の)映像のようでした。
さて「アメリカ人だけの”世界”貿易センター崩壊ドラマ『World Trade Center』」 Nueva York lifeにて
ところが、だからと言って、込められたメッセージに賛同するとは限らない。”World Trade Center”は文字通り日本語で訳されるように「世界貿易センター」だ。ニューヨークにおける世界経済の中心であり、象徴的存在でもあった。その崩壊という意味のことが全く描かれていない。
とあったんですが、確かにこの映画はそういった政治的な部分にはなんにも触れていません。だからドキュメンタリーのように感じたんでしょうけど。でも、この映画ではその後の政治に焦点を当てる必要もない気がします。
映画を観て私が思ったのは「あぁ、これならば確かにアメリカで愛国心が強まったのも判る」という事。具体的に映画のどの部分からそう思ったのかは判らないんですけれども、兎に角そう思いました。なんていうのか、衝撃が大きすぎたからこそ、何かしらの中心力を求めていったんだろうな、と。んで、私なりにこの映画の意義を見出すのであれば、9.11以降の混沌とした戦争や政治はおいておき、事件そのものについてもう一度考える機会を与えてくれた事が一番大きいと思います。あの事件のときにその場にいた全ての人の存在を再確認する、そういったきっかけになるんじゃないでしょうか。その後の戦争に目を奪われがちですけれども、その前には3000人近い犠牲があるわけですから。
・・・って書くと何だか主人公達が死んでしまった様に聞こえるんですけど、彼らは生きています。(あくまで主人公達は、の話。でも特別にその死を映し出された人っていうのはいません。敢えていうならもう一棟の崩落の際に重傷を負ってピストル自殺した?同僚の警官ぐらい。)私はずっと最後はもっと悲観的だと思っていたので、まさか救出されるとは思ってませんでした。確か5年前もニュースになったはずなんだけど、覚えてなかったです。兎も角、号泣したい人向けの映画じゃないです。泣くにはちょっと重くて、暗くて、怖い映画。最後は一応生存していたというハッピーエンドなんですけど(勿論この映画の主人公達にとっては、の話)、崩壊したビルの中の様子がかなり怖かったです。外からの崩壊の様子は一切映像として使わず、あくまでビルの中から崩壊を描いていましたし。音と振動と炎だけでビルの崩落を表現・・・って怖いです、正直。