ドナルド・トランプ、時代の男

先日、余談として書いたが、英語のリスニング力の維持のために、CNNのAnderson Cooperのpodcastを流し聞きすることにした。今の時期のアメリカのメディアが報道することはただ一つ、ドナルド・トランプの選挙戦についてである。ドナルド・トランプ本人よろしく、CNNの中でもキャストがお互いの主張を被せての大論争をしている。(流石に罵り合いはしてない。)攻撃的な物言いというのは、このように話題の中で伝染するのか・・・と興味深い。

で、ドナルド・トランプについて。昔に比べるとアメリカの政治に対する熱量を失っているため、イマイチ選挙戦の状況について理解できていないのだが、ドナルド・トランプが新しいタイプであることは間違いなさそうだ。まず、これは多くの人が指摘しているが、彼は過去のキャリアで政治に関わったことがない。よく比べれれるのはレーガンのようだが、レーガンは大統領になる前に、州知事をしている。ちゃんと調べたわけではないが、基本的に州知事や上院議員経由で大統領を目指し、大統領になる人が多い中で、純粋なビジネス畑からの立候補。経済政策は良いにしても、外交とか大丈夫なのだろうか?しかし、ここで「いやいや、大丈夫じゃないから、声高に過激な発言をして、本当の外交から大衆の目を逸らさせているのではないか?」と意地悪い考えも浮かんでしまう。いざ大統領になったならば大人しくなるという意見もあるが、個人的には是非プーチンとトランプとの対決を見てみたい。あのトランプの猛攻に耐え、勝ち越すのはこの世界でプーチンくらいしかいないだろう・・・サーカスの猛獣ショーをみたい、と同じノリですね。

まぁ、冗談はさておき(プーチンとの対決をみたいのは、わりかし本気だが)、なぜ今トランプがこんなにアメリカでウケているのだろう?間違いなく、世界中で彼の言動に眉をひそめている人がいる。「トランプがアメリカ大統領になったら、世界秩序はおしまいだ・・・」ってレベルで悲観しちゃう人がいる。私もその気持ち、よくわかります。大統領になって大人しくなるならばよいが、もし今演説している内容そのままに、それこそ、ビジネスのCEOのごとく独断的に(?)外交を捌いてしまうならば、おそらく世界の半数以上の国家元首は頭を抱えてしまうだろう。「アメリカ国民は良識をなくしたのかっ!」と罵りたい気持ち、わかります。でも、あいつら、日本が中国と陸続きだと思ってたりしますからね・・・その辺は前からと言えなくもない・・・かも?

しかし、同時にもう少し世界に視野を向けてみると、アメリカにおけるトランプ旋風と同じような理屈が他の国でもまかり通っているようにも思えるのです。日本で言えばレイシストやらしばき隊の問題、ヨーロッパにおける移民反対の暴動やらなんやら、中東におけるIS・・・どれも、自己中心的モノの見方が強まった結果なのではないだろうか?あら、これぞつい最近読んだメアリー・カルドーの「自集団中心主義」じゃありませんか!つまり、ドナルド・トランプは、世界における民主主義の旗手、アメリカ合衆国にさえ、あからさまに「自集団中心主義」が蔓延り始めた象徴である!と言えるのかもしれない。わぁ、意外と本気で時の人だったんですね!

また冷静になって考えてみますと、あの散々言われた子ブッシュ時代でさえ、アメリカはなんとかその辺を耐えたのだ。それは、単にブッシュが新時代幕開けの主人公になるには役不足だったということもあるかもしれないが、コンドリーザ・ライスなど比較的良心的というか、頭のよいバックが付いていたからに他ならない。もし、トランプにまともな外交政策補佐役がいれば、いままでの発言は絶対になかっただろう。(ただ、とりあえずアメリカ国内の人気取りを優先する判断で言いたい放題言わせている可能性も多少ある。でも、その場合に、トランプ大統領の暴走を閣僚が抑えることができるのだろうか?)その辺も世界が頭をかかえる一因である。実際のところ、たとえ共和党の指名をトランプがとろうとも、反トランプの共和党支持者が民主党に流れ、トランプ大統領は誕生しないと思われるが、万が一、トランプ大統領が誕生してしまったら、最後の頼みはやっぱりプーチンしかいない・・・と思ってしまうのである。てかプーチンの場合、確実にトランプをいいように使うな・・・言っちゃ悪いがレベルが違ってよ。

 

ところで、シュワちゃんはどこに消えたんだろう?10年くらい前はてっきり大統領選に出てくるもんだと思ってたけど・・・

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