西のテロ、東の国家間対立

■ベルギー連続テロについて

今回の件、つい最近ベルギー内で去年のフランスでのテロの容疑者が逮捕された事に対する報復なのだろうか?何れにしても、中東・アフリカから難民がヨーロッパに流入しており、それに対する反応、さらにその反応に対する反応・・・と、どこかでなんとかしない限り、暴力とそのもととなる悪感情は終わらない。

しかし、なぜヨーロッパなのだろう?近いから?すでにそれなりのコミュニティーがあり、潜伏しやすいから?イラクやアフガンでアメリカを支えた国だから?ものすごく乱暴に考えると、やっぱり植民地時代の遺恨なのだろうかという答えが頭をよぎる。もしそうならば、一体どこに解決の糸口があるのか・・・アメリカがアフガンやイラクに手を出した10年前から「テロを封じ込めるには?」をテーマにいくつものガイドラインや論文が出回っていたが、未だに効果なし、むしろもっと状況は悪くなってきている。

かつて地球は広かったので、違う文明・文化はそんなにぶつからずに済んだ。歴史が下るにつれて、どんどんぶつかる面は広がっていって、その面を挟んで戦争があったりもしたが、基本的には西欧文明が他の地域を飲み込む形で秩序が作られてしまった。冷戦も2つのブロックが他の地域を頭ごなしに抑え込んでいたという点では植民地時代とそう変わらない。冷戦の終結とともに、というか冷戦の間に、西欧が中途半端に手を引く。非西欧の地域は、自分たちの土地が浸食されてた(文化的には「浸食されている」)と気がつき、自身の権利と誇りのために戦いを挑んだ。ついでに抑え込まれていたので目立たなかった部族や民族同士の争いも大規模化・・・とこういう視点で歴史を眺めるのであれば、先行きはあまり明るくないと言えそうです。多分、人間が増えすぎたんでしょう。ある国か文化が今一度地球のほとんどをその影響下に収めるか、多少のいざこざは前提として、どの文化も他の文化につべこべ口出しされずにそれなりの影響圏を確保して棲み分けるか、なんらかの方法で人口を減らして歴史の針を戻すか・・・さてどれに落ち着くのか。おそらく私が死ぬまでには答えは出ないでしょうね。

 

■反対に東アジアでは

やれ北朝鮮がミサイルを発射した、やれインドネシアと中国が違法漁船で体当たりしたりされたり・・・西欧でのトレンドは非対称戦というに、見事に国と国とのパワーポリティクスが生き残っているのが、我らが東アジアなんである。テロの現実と解決の困難さと比べると、かなりシンプルなので、かえって安心感というか安全感というか、妙な気持ちになるのは私だけでしょうか?

もちろん、テロがないわけではない。が、安全保障の面では「国」対「国」を意識している国の方が圧倒的だろう。これまたなぜ?地球の半分以上はテロとか内戦とか、そういうことに頭を抱えているのに、なぜ東アジアだけ20世紀のままなのだろうか?これは私の想像ですが、やっぱり歩んできた歴史の問題なのかもしれない。日本がヨーロッパの植民地化を免れて、また中国も屈辱は受けたものの完全なる植民地にはなっていない状態であったこと、それゆえに十分な力が国に残ったからではないか・・・?

 

しかし本当に妙な感じなのです。ヨーロッパでは街角のテロに怯え、私たちは空からミサイルが降ってくることを懸念して、とうとう都民に配る防災指導本にもミサイルや核から身を守る方法が載る始末。なぜ、西と東でこうも違うのか?今、テロというとイスラム過激派によるテロと同義だが、本来「テロ」という言葉に地域性や宗教性はないはずなのだ。実際、日本のオウム真理教の事件も世界的には「化学テロ(しかも世界初の!)」である。なのになぜ、テロはイスラム過激派の専売特許のようになってしまったのか?なぜ、イスラムのテロは西だけに向いているのか?(文化的侵略に対するというのであれば、トヨタのランクルに対してもテロを起こしても良いはず。ランクルもマクドナルドも同じくらいの恩恵だろうに・・・)テロが少ないから東アジアは安心して国家間対立にかまけることができるのか?それともテロが東を向かないのに、東の国々が持つ特別な理由があるのか?ならばそれはなんなのか?謎はつきませんね。

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