「シン・ゴジラ」の感想

ブログをしばらく放置してしまった。女ぶらり温泉旅という名の祖母の介護旅行だったり、実家に帰って留学時代の本の仕分けをしたり、仕事で体力気力を削られたり、「シン・ゴジラ」を父と初めての4DXに感動しながら観たり、「シン・ゴジラ」を一人でじっくり見に行ったり、そんなことをしていたらあっという間に2週間である。ま、平たく言うと「シン・ゴジラ」にハマったのです。というわけで、ここらで感想まとめます。ネタバレ上等な方向け。

 

・そもそも最初のポスターを目にした時「目が小さい。口が裂けている。可愛くない。」と思った。私はバリバリ「VSシリーズ」の世代である。モスラは小学生のころに多分3回くらい観に行ってる。ベビーゴジラとか可愛いゴジラに慣れ親しんでいるんです。今思えばスペースゴジラも可愛めな造形ではないか。どう考えても、シン・ゴジラは可愛くない。・・・がなぜだろう、蒲田のあいつはキモ可愛く感じてしまう。やはり目の大きさがポイントなのだろうか?(目がでかい方が可愛い、ということが今この瞬間に、人間から怪獣までの生物学的一般常識になってしまった気がする。一重の自分に思わぬ墓穴。)

・「こいつのせいで地球や街が危機に陥る」というか弱いキャラがいないのが個人的にポイント高し。思えば、平成ガメラシリーズでレギオンが一番好きな理由もこの辺にある。決して石橋保演じる自衛官のコート姿が超絶かっこいいからではない。ゴジラに対して人間みんなで対処しているのが良いのであって、「か弱いヒロイン(でも子供でも男でもなんでもいいんだけど)がゴジラと心を通わせ」たり、「人類側が最終攻撃仕掛けようとした時にヒロイン(でも子どもでも男でも)が攻撃対象範囲にいて、それゆえに攻撃が中断される」場面がないのが素晴らしいのだ。よく考えてごらん。あの最後の無人新幹線爆弾攻撃の時「あ!東京駅付近に亡くなった大河内首相の娘さんが!攻撃止めろっ!!」「キキーッ!(と新幹線がとまる)」なんてシーン、どんなにそこまでの話の流れがスムーズでも見たくないでしょ。無人新幹線爆弾はあのスピードで見事にゴジラに向かって突っ込むから、「宇宙大戦争」のBGMの盛り上がりもあり、「よし!さすがN700系!(いつも使ってるし、車内充電もできるし)愛してるよー!」と喝采したくなるんである。なお、最初の方のシーンで自衛隊が攻撃できなかった原因である老夫婦(だったよね?)については、なぜか許せるので不問に付す。

・1度目みたときは席が揺れるが故に細やかな内容に集中できなかったのだが、あの折り紙の原理?であの構造図?を解き明かすシーンだけは2度見てもわからなかった。官僚は基本早口、という演技指導があったとのことで、みなさんそれは早口なんです。わからん状況をわからん単語で早口で説明されてもやっぱりわからんかった。

・てか、「シン・ゴジラ」は用語解説がないとついていけない人もいるのではないか?国際関係やら政治についてもそれなりに勉強していないとわからないだろうし、自衛隊用語についても「ひとふたまるまる」とか言われても、時刻のことだとわからない人もいるのでは?「とっか」とかも、例え漢字で「特科」って字幕がついてもわからんだろう。てか、1.5年前の私もわからなかったと思う。

・ちょっと気になるのが、安保理でイギリスの存在感が皆無であったこと。中露が地理的にうんたら、はわかる。アメリカがゴジラに特別な関心を持っているのもわかる。フランスは独自路線、これもわかる。イギリスは一言もでてこない。スパコンのシーンもドイツである。このままでは「安保理ってアメリカ、ロシア、中国、フランスの4カ国なんだな」と認識する人もいるのではないか?・・・って、流石にそれはないか。もし、「イギリスはアメリカの決定に歯向かわない。イラク戦争の時のブレア元首相のように。」という意味を込めてイギリスの存在感がないのだとしたら、庵野監督、それは深すぎて誰も読み解けないと思います・・・

・あと個人的に一番気になるというか良くわからないのが、赤坂先生の立ち位置。「日本はアメリカの属国だ」というもんだから、反米なのかと思いきや、核攻撃は諦めて受け入れるようでもあり、でもそうでもなさそうでもあり・・・それが政治家というものだと言われたら「確かに」と納得するしかないし、「そういう風に人にレッテルを張るのは良くない」と言われたら「おっしゃる通り」とぐうの音も出ませんが、なーんかいまいち良くわからんのだよなぁ。

・石原さとみの演技は結構いいと思う。無理があるのは「日系で、お父さんが上院議員で、あの若さで大統領特使で、女性で見た目もバリバリ日系なのに40代で大統領狙っている」という設定のほうなのだ。英語もあれだけ長台詞言えればいいじゃん。「親の都合でティーンの時にアメリカに住んでいて、これまた親の都合で日本に戻ってきて、日本語の問題とか諸々、普通の日本の大学でやってく自信がないから、ICUあたりに入って、外国人留学生や同じような境遇な子達とだけつるんでいる女」と思えば、バッチリの演技だよ。え?なんか怨念がこもっている?気にしない、気にしない。

・まぁ、見る人を選ぶ映画なのだろうと思う。「対馬で不穏な動きあり」にニヤリとできたり、自衛隊や政府の組織や役職について説明なしでついていけなければ、面白くないだろう。かといってそっちの方面だけ詳しくっても、突然流れ出す「デーンデーンデーンドンドン」や呑川側の看板の猫の写真、「おチビさん」の映像にも反応できなければ、やっぱり面白さは半減。何よりゴジラを観てなければ、過去作品へのオマージュというかリスペクトシーンに気づいたり、伊福部音楽に感動もしないだろうし。それでも、上記3つの全てを満たしていない我が妹が楽しかった!と言っているんだから、面白い映画であることは間違いなし。1度目は素でみて、2回目見る前にTwitterの「#細かすぎて伝わらないシン・ゴジラの好きなところ選手権」のまとめを読んでみると、さらに楽しめるのではないでしょうか。

大体こんな感じ。全体的に「あのシーン、もう一度見たい!」という場面が多く、それと同じくらい「コマ送りで確認したい」という場面も多い。私もやっぱりまた見たい。

 

Leave a Reply