映画「この世界の片隅に」の感想じゃ!

■「ネタバレ上等!」な人だけ読んでええよ■

 

立川まで映画「この世界の片隅に」を見に行ってきた。私は俗に言われとる原作厨ってことになるんじゃろうか・・・原作を買って以来、何度も繰り返し読んどるし、その度に泣いとる。最近はトイレの中に置いておるもんだから出勤前に涙ぐむ日々・・・ううむ、馬鹿かもしれん。ま、そんな感じで原作LOVEな私じゃけぇ、映画化はちょいと心配だった。数年前には終戦記念だったか2時間ドラマになっとったが、その時は水原さん役に速水もこみちじゃった。「水原さんはゴリラの水兵さんだから、周作さんとの違いが際立ってええのに、もこみちじゃ意味がない!」といきりたったりね。愛が深いと色々大変なんよ。で、今回のアニメ映画化はそんな原作厨でも大満足!読んだことない人も是非見て欲しいと思う映画じゃね!!

んで、感想というかツッコミはいつも通り箇条書きで。

 

・とあるエピソードがバッサリ無いと言うのは聞いておったが、まさかリンさんと周作さんの話が無いとは思わなんだ・・・原作を読んでいれば「切り取られた周作さんのノート」とかで、ちょいちょい名残が挟まれているなぁとわかるんじゃけど、読んで無い人には全くわからんじゃろ、これ。それくらい自然にカットされてたといやぁ、そうかもしれんが、どうなんじゃろうね。お陰様で周作さんが単にめっちゃええ旦那さんになってしもうたような・・・原作の周作さんはリンさんと結ばれなくって(家族に反対されて?)、半ばやけくそのようにすずさんを嫁にもらったわけじゃけど、その辺がすっぽりないけぇ「子供の頃に出会ったすずさんへの純愛」みたいな感じになっとる気がする・・・となると、水原さんといい、すずさんめちゃモテじゃないの・・・なんかずるいぞ!

・水原さんについては全くカットされとらんで一安心。てかむしろセリフ増えとらん??納屋のシーンでも、えろう男前に描かれてて、その横顔をマジマジと見つめちゃったわ。(私は周作さんの方が好みじゃけど。)納屋のシーンは、まぁなんとエロいことよ!すずさんの声は声優ではなく、のん(能年玲奈)じゃったが、このシーンでちょっと声が震えているように聞こえるのはさすが女優さんじゃ思うたわ。臨場感ありまくり。一人で観とったのに、隣のインテリ風イケメン眼鏡に憚って照れてしもうた・・・

・個人的に描かれてなくって残念じゃったのは、小学校へお義母さんを連れていく話とお茶碗の話。お茶碗の方は、リンさん絡みだからカットするしかなかったのかもしれんが、小学校のはいれて欲しかったなぁ・・・なぜならこの2つのシーンでは、すずさんが「いいお嫁さん」として他の人たちに褒められとるのです。一生懸命働くすずさんが褒められるシーンが無くなってちょっと残念。

・その他にカットせんで欲しかったなーと思っとるのは「まぶしい周作さんの頭」「防空壕を作る時の周作さんのグエー」「知多さんが太陽を眩しがるシーン」「終戦後、草津から江波の実家跡によるシーン」あたりかな。あと、「台風」。「すみちゃんが生きとる」は見たかった・・・知多さんのシーンも、広島への救援が結果被曝につながってしまうという大事なシーンなんじゃがねぇ。江波の場面もお母さんと鬼いちゃん向けへの張り紙がお父さんの名前のみになっとって、10月以降すみちゃんがそれを直していないことが読み取れるし、家に住み着いた子供は「兄、妹、妹」で浦野三兄妹と同じ構成。原作者のこうの史代さんはこの手を良く使うから、見せて欲しかったと思うわ。

・後は原作にみっちり書いてあった呉の地図や工廠、海軍組織図がなかったか・・・ま、これは映画の中では描きようがないからしょうがないんかもしれんね。でも、広の工場とか、広島との位置関係とか、多少は見せんとわからんもんじゃないんかね?まぁ、私は広島出身じゃけ、もともと土地勘があるんじゃろうが・・・はてさて、他の人はどうじゃったのやら。

・逆に増えとるというか、はっきりくっきり描写されて良かったんが、空襲のシーン。空襲の多さの見せ方はもちろん、空襲の時の音や絵が、ずっとリアルじゃった。焼夷弾やら爆弾の描写もね・・・それから、電車の中で海側のみブラインドを閉めさせるとか、ラジオ放送とか、細かくリアル。さすがブラックラグーンの監督じゃ。(←褒め言葉)人物はデフォルメっぽい絵柄なのに、爆弾だけはえらいリアル・・・その辺も何かが際立っていたような・・・

 

まぁ、だいたいこんな感じです。原作を知っている人からすると、「なんであのシーンないんね!」とちょいちょい残念に思うことがあるかもしれんが、それでもストーリーとしては破綻しとらんし、10人の原作ファンがいたら10人全員が「映画にはこのシーンを入れろ!」というシーンは入っとったと思う。リンさん絡みがバッサリのうなっても、それでも「すずさんが幸せならいいやー」って思えるんが、すずさんのすごいところかもしれん。

広島での平和教育の賜物なのか、単に戦争モノに弱い(なんせ「漫画で学習 日本の歴史」の復員シーンで泣ける)だけなのかはわからんが、しょっぱなの広島の鳥瞰図っぽい画面で「広島じゃ・・・」と涙ぐみ、市電に涙、あれで涙、これで涙・・・とシクシク泣きながら見た割に、化粧が落ちてないのはこりゃ、年の功かね?なんにせよ、ええ映画です。皆さんも是非観てください。

 

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