三百人委員会についての本を読んでみた

  

 

経緯は忘れちゃったのだが、飲み会の席で人から勧められて、陰謀論の本を読んでいる。そもそも、同じ筆者(ジョン・コールマン)が似たようなタイトルの本をたくさん出している上に、訳者も違う。その人が勧めてくれたのは、説明してくれた表紙から言って左の本だろうが、私は図書館で借りたので右の本が手元にある。副題も違うし、中身が同じかどうかもわからない。だからと言って左の本も入手して読み比べようとは全く思わないけど。因みに、勧めてくれた人の名誉のために明記しておくが、「ネタ」として勧めてくれたわけで、信じているわけではない。・・・ですよね?ですよねっ!?

さて、肝心の中身。これがぶっちゃけ読み進めるのが非常に苦痛なんである。内容についてはちゃんと検証が必要だと思うけど、 [1] … Continue reading本の筋がありそうでないので、迷子になるのだ。最初に出てくるのが「彼ら」という単語。それが「ローマクラブ」であり、同じものが「三百人委員会」であると。で「イルミナティ」が出てきて「王立国際問題研究所」に続き、「NATO」の名前が出てきたところで、ハイ、迷子がここに一人。各団体の概要というか構成というかそういうの、後からじゃなくって先に教えてもらえないだろうか?フツーの人はフリーメイソンの知名度レベルで「名前は知ってる。なんか怪しげな団体らしいじゃん?」位だろうし、ローマクラブ(初耳!)と「NATO」を一緒にされても、全然わからないのだ。私の知識的には、ものすごーくシンプルに語弊を恐れず言うと「NATOはむしろアメリカの手先」だったんですが、違うんですかね?その後もいろんな組織が出てくるし、一応それっぽい組織図というか相関図?も出てくるのだが、結局わからないままである。人の名前もたくさん出てくるし・・・なんだか、「とりあえず有名どころで、怪しげな人の名前を全部あげときますねー」みたいな感じもする。個人的にはキッシンジャーがこの本の筆者を訴えたかどうかが気になるところですね。

肝心の内容については、私が理解した限り「王室を頂点とした三百人委員会が、麻薬や銀行やその他もろもろの組織やメディアを駆使して、人類支配を目指している」ということを言いたいのだろうと思う。まぁ、ケネディ暗殺事件とかまだハッキリしていないし、メディアによる世論支配なんて部分も個人的に「わからんでもない」という点ではあるんですが、やっぱり「うーん」と思えることの方が多い。

例えば序文によると「フランス革命とロシア革命はともにキリスト教を標的にしていた」ということで、秘密結社の糸引きを示唆されているんですが、その秘密結社とやらが、この本の主題である「三百人委員会」なのであれば、それは委員会のトップが英国王室であることと矛盾しないか?と思える。だって、フランス革命でもロシア革命でも国王は殺されてますよ?それから、20世紀初頭、東インド株式会社が、自らの利益のために中国にアヘンを送りまくった・・・というのは、世界史の常識になっていると思うのでいいんですが、その上で「惨憺たる結果に終わった、日本人をアヘン常用者にしようとする試み」が何故惨憺たる結果に終わったのか、一日本人としては興味深々だったのだが、一言も書いてない。現在のアメリカにおけるドラッグ漬けを憂慮するならば、先例として日本での失敗(もしくは日本の成功)を、書いておいた方がよいんではないか?要は説明が中途半端なのだ。

また、これは本が書かれた時期に想像もできなかったことだろうが、インターネットの問題がある。もし、三百人委員会が本当に存在しこれほどの規模で活動しているのであれば、インターネットはこうはならなかったに違いない。もちろん、世論誘導しようとするつぶやきだとかウェブページだとかあるにはあるが、それと同じくらい同数の反対意見も溢れているのがインターネットである。明らかに無秩序に見えるインターネットの世界を三百人委員会は一体どうやってコントロールしているのだろうか?

ついでにもう一つ。三百人委員会の悪行は結構なのだが、それに対抗する筆者の思想もなかなかである。

われわれの先祖は共通の言語を話し、共通の宗教であるキリスト教を信じ、共通の理想を抱いており、当時は合衆国に異邦人はいなかった。(P128−9)

ここで「お前も移民だろ!」と突っ込めるかどうかが、大事だと思うの。これだけ「アメリカが!アメリカが!」っていうから、てっきり生粋のアメリカ人だと思ってたら、MI6上がりの [2]4月25日追記。この部分、不確定でした。失礼いたしました。イギリス人じゃないですか・・・因みに「原発推進・キリスト教信仰 [3]他の宗教については一切言及なし・ホモセクシャルなんておぞましい・マイケルジャクソンは改造人間」だなんてこと、今いうとフルボッコにされるがオチである。あぁ、それともこの「フルボッコ」こそ、三百人委員会の悲願達成なのだろうか・・・?

ま、この本の一番の教訓は「鵜呑みは良くない」ですね。自分の意思で考えて行動しないと三百人委員会みたいな組織に操られるし、操られていると信じ込むことにもなる。たとえそれがどちらに曲がっていようとも、己の価値観を突き詰め、真善美を追求すれば、少なくとも自分の人生においては正しい道を歩けるのではないでしょうか。

 

 

References

References
1 というより、なんでも「ありえない!」で切り捨てる態度はいただけないという思想ですね。鵜呑みに信じるのもよろしくないですが、判断に至るまでの過程はきちんと踏もうとする派なのです。
2 4月25日追記。この部分、不確定でした。失礼いたしました。
3 他の宗教については一切言及なし

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