嫌になる程読みにくい本だった

ほっんとーーーーに、読みにくい本でした。なんで?なんでこんなに読みにくいの??「原著がそもそも読みにくい」「訳がイカン」「編集が仕事していない」さぁ、どれだ?きっと全部だ!!

とまぁ、とにかく読みにくかったんですが、内容は中国海軍の拡大に対して、マハンを軸にした主に軍事的側面についての考察です。しかし、章立て自体がわかりにくいんだよな。マハンから中国による海軍戦略の概要に進み、そこで歴史的先例としてドイツの話、で今後は中国による海軍戦術の話になって、そのままミサイル(戦略)、核(戦略?戦術?)、そして、ここでなぜか、いきなり中国が鄭和を最近持ち出してる話になってから同じ章のなかでインドの反応について、その後、対するアメリカで刊行された中国海軍に対する評価に対する評価、最後にまとめ。うーむ、わかりそうでわからない。特に最初の方の章では「それ、さっきも説明してたで」と突っ込みたいことが何回かあったので、原著はもともと論文をまとめたものなのかもしれません。だったら、アメリカの編集者も仕事しろ。

さて、前の記事で自分の書いた論文と比較してみる!と息巻いてたので、その結果をお伝えしますと、まぁ、ピックアップポイントは似てるかな・・・って感じです。中国の共産党政権は国民の経済的ニーズを満たすことで政権を保持しようとしている(共産党のイデオロギーはすでに求心的ではない)、そのためシーレーン防衛が必要と認識されている。その中で列島線が設定され、(当時は)第一列島線の突破さえ怪しい状態だが、外洋、特に燃料輸入やヨーロッパとの貿易に重要なインド洋への展開しつつある。中華思想(孫子や毛沢東の思想)や歴史(鄭和)も一定の役割を果たしている・・・ここまでは一緒。

それではどこが違うかといえば、私の方は海洋資源とシーレーン貿易の経済的な部分にもう少しポイントを置いていたが、本書ではほぼ割愛されていた。これは翻訳者あとがきでも指摘されていた通り。逆に、私は潜水艦運用について触れていなかったが、本書ではミサイルとともに重点的に説明されていました。一応言い訳しておくと、潜水艦については書くつもりだったんだけど、論文の枚数オーバーで諦めたんです・・・ミサイルについては完全に思考外でしたな。

まぁ、あれです。ぶっちゃけ古い本ですし、あれから10年。すでに中国は海南島どころではなく、南シナ海を埋め立てて基地を作っちゃったりしてますし、こんな読みにくい本読むより、渡部悦和氏の「米中戦争」の方が同じ話題を同じように軍事的観点から説明してて、刊行も比較的最近ですし、日本語も読みやすく、しかも新書で薄いという点で強くお勧めします。購入したのに本の山の中に埋もれてしまって取り出す気もわかないので、数年前に読んだ記憶ベースですが、確か同じランド研究所のシナリオを扱っているので、内容的にも日本人が書いたか(日本視点か)、アメリカ人が書いたか(アメリカ視点か)くらいしか変わらないと思います。歯を食いしばって読みにくい本を読むよりは、「米中戦争」の方を私は圧倒的絶対的にお勧めします。てか、最後にもう一度愚痴らせて・・・「マハン大佐」を「マハン艦長」って、どうなの?まぁ、訳として間違ってはいない。どちらの意味もある。でも、あまりに誤訳というか意味不明すぎて、「ははーん、これはcaptainは海軍では大佐って知らなかったんだな・・・」とか勘ぐってしまったわよ。翻訳者が畑違いなのはまぁ、ビジネスの諸々もあるでしょうから許そう。編集者は仕事しろ。

 

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