手伝って会戦

復活宣言しながらなかなか更新しませんでしたね、私。有言不実行ばかりです。近況はと言えば、非常にアメリカらしいけれども、出来れば経験したくない経験をしています。人権侵害だとか差別問題だとか、アレだとかコレだとかで大変なので、ここでは詳しく書けないのですが(ヒント:シングルベッドは一人用)、結構精神汚染が激しいですね。必殺「完全無視」を決め込んでいますから、今のところは大丈夫。

そう言えば11月頃に寮の部屋の暖房が壊れて、その当時のルームメートと凍え死にそうだった時期があったのですが、そのときに

私「私がこのまま、凍え死んだら日本のテレビで流れるだろうな〜」
ル「じゃあ、私も出るかなぁ?」
私「いや〜、人種問題に発展させたいだろうから、ないだろうな」
ル「といいますと?」
私「だって、白人で金髪で青い目の子も一緒に死んじゃったら、日本人だから差別された!っていえないじゃん」
ル「むむっ!確かに・・・まぁ、私が日本に行って同じ目に遭ったら、やっぱりアメリカのテレビもそうするかも知れない」
私「それより、あんた、唇がハローウィンのメイク並みに青いぞ!死ぬな!」
とか話してたのですよね。結局「ルームメートが真っ青なんですけど」と脅してすぐに直してもらえましたが。まぁ、この程度の話だと日本国内においてのみ「アメリカにおける人種差別」が問題視されるんでしょうけど、100年ほど前はもっとすごかったんだぞ!と言う訳で今回の本題、「ウィルソン大統領に関するリサーチ:途中経過報告篇」に移りたいと思います。

前回も書きましたが、毎週3日合計12時間、ひたすらウィルソン大統領に関する資料集(手紙のコレクションとか、記者会見の記録とか)から日本に関するものを抜き出し、リスト化するという趣味のような仕事のような事をしています。ウィルソンが大統領になってからすぐに出てきた日米関係の大問題が「日系移民排斥問題」でして、丁度カリフォルニア州で「排日土地法」が可決されるかされないかということで、珍田在米大使がかなりウィルソンと頑張っておりました。簡単に書くと以下の通り。

珍田大使「この法律案は日本人に対する人種差別だ!」
ウィルソン「ち、違う!第一、合衆国憲法により連邦政府は州の立法には口出せないんだよ。私にはどうしようもないんです!」
珍田大使「でも、日本国民はみんなカンカンだぞ!しかも日米間の条約違反じゃん!(どの条約についてかは、いまだ不明。1911年のか?)さらには、この法律案、日本人だけがターゲットじゃないか!やっぱり人種差別だ!」
ウィルソン「差別じゃなくって、土地法は純粋に経済の問題なんです!差別じゃない!」
珍田大使「言ってる事は判るよ?そっちの国内状況も理解してるさ。でもやっぱり、差別ー!差別ー!」
ウィルソン「じゃあ、連邦政府が希望者には経済的損失の保証も出来るようにする(議会に案を提出する)し、アメリカにとっては日本は大事なお友達なんだから!差別なんてしてない!」
珍田大使「差別ー!差別ー!」
この後も、日米間で新しい条約を作ろうとかしているんですが、やっぱり「差別ー!差別ー!」「差別じゃないもん!」の繰り返し。延々と繰り返し。これだけやられりゃ、ベルサイユ講和会議で日本の提出した「人種的差別撤廃提案」をかなり強引に無しにして、逆に山東半島を日本にくれてやったウィルソンの気持ちがわからんでもない、よね。

因みに資料を見る限り、アメリカ海軍は結構本気で日本との戦争を考えてたようです。曰く「フィリピンとハワイが危ない!」だそうで、だから「中国に駐留している艦隊をフィリピンに移動させよう!」と計画したところまでは良かったんですが、ウィルソンや国務長官ブライアンが「今、下手に艦隊を動かすと、逆に(すでにカンカンの)日本人を爆発させちゃうから駄目」と、至極リーズナブルな理由によって却下したために、何とか1940年代までは直接対決せずに済みました。というか、ここで海軍の言い分が通った場合は1913年にして日米開戦しちゃうわけで(まぁ、日本がどれだけ本気かは判らないので、確率の問題ですけど)、1914年から始まる第一次世界大戦とかどうなったのだろうとか考えずにはいられません。イギリスがどう動くのかによりけりでしょうけど(一応、日英同盟を日本側と結んでいるし、逆にアメリカとも関係良好だし。)、「歴史にもしもはない」といえど、世界大戦の始まりが日本とアメリカの「差別ー!」「差別じゃないー!」だったかもしれないと考えればなかなか感慨深いですな。

んで、超マイナーどころを攻めまくる歴史の授業ではこの人の本、「赤い恋(英題名:love of worker bees)(本当にこれであっているのか不安。一応英語バージョンでは”love of worker bees”という本に”Vasilisa Malygina”、”Three generation”、”Sisters”の3つの小説が入っていました。)」を読んだのですが、クラスでは主人公の優柔不断っぷりに非難轟々でした。「いい加減気付けよ!と思った」とか「私なら一回目の疑惑で別れるわ!」とか。私も、勿論そう思ったんだけど。この話、一言で言うなら「ちょっと見かけが貧弱な女共産党員が、アメリカ帰りでブルジョア志向ヘタレ浮気性の旦那をすったもんだの挙げ句やっとこさ捨てて、シングルマザーとして生きると決めた話」でしょうか・・・この話のどの辺に戦前の日本女性は共感したんだろうかね?

後、映画「大いなる幻影(フランス映画の方)」や「戦艦ポチョムキン」を観たとか、色々書きたい事はあるのですが、今からポチョムキンの映画クイズを作らなくてはいけないので、この辺で。そういや「modern Japan」のクラスの先生が「戦前昭和で重要な人物は北一輝と山本五十六だ!」と言っていたけど、どうなのこれ?山本五十六は兎も角、北一輝って・・・知っているけどさ。確かに、二・二六事件とかその後の思想に大きな影響があったけどさ、なんか微妙な選択だと思うのは気のせいでしょうか?しかも「日本人はだれでも知っている!」と豪語。いや、多分アメリカ人がウィルソンを知っている確率より低いから、それ!とか思ったんですけど、TA (Teaching Assistantの意。しかし最近はTeacher’s Assistant:雑用係といった様相です。)として一応「軍人、軍事について教える事こそ、軍国主義に繋がると戦後の偉い人は考えているので、北一輝だなんて思想の大元だからこそ、まず教えませんよ。」とコメントしてみた。

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