高山宏の「トランスレーティッド」と格闘中

今頃は実家で甥っ子と一緒に将棋を指して、ボロクソに負けているはずだった…のだが、お互い外出自粛で家から出れない。しょうがないので、ZOOM飲みしている父を羨ましく思った母に付き合ってLINE飲みしたり [1]どうもZOOMに対して未だ一抹の不安が抜けないため、LINEである。大して変わらない気もするけど。、エアコミケにあやかっていろんな人の絵を見たり、突然courseraでロシア史の授業にエントリーしてみたり、英単語を勉強したり、本を読んだり、月曜断食を始めたり、これらの合間合間にイヤイヤ仕方なくしょうがなくやむを得ず仕事したり、要は結構フリーダムに自粛生活を過ごしている。元々思いっきり温泉旅行とか海外旅行といった非日常的な遠出は好きだが、ちょっと新宿で買い物…みたいな外出はしないタイプである。つまりは今のところ「温泉行きたいー」という思いにさえ目を瞑れば、結構楽しく過ごせるはずで、その「結構楽しく」を実践した結果が上記の通り、節操のない状態なのだろう。因みに家に溜まってる教科書も読み込もうとしている。忙しくって自分が3人くらい欲しい!

さて、今読んでいる本は高山宏の「トランスレーティッド」である。916ページにわたり、高山節としか言えない言葉の奔流でパラドックスだとか道化だとかマニエリスムだとかが語られる、語られる。今まで英文学にノータッチだった我が人生、自分の知識では太刀打ちできない…けれど、解題集なので似たようなことが繰り返し出てくるからこれも勉強とフムフム読んでいる。出てきた名前を繋げていったらさぞかし面白いと思うが、すでに300ページ弱読んでしまったので、これからやり直すのはちときつい…いや、勉強ならばやるべきか…

 

それはともかく、何点か「おっ」と思ったことがあったので、ここにメモしておく。まず、この本の中で語られる世界というのは、実はこのブログで目指している世界に近いのではないか?ということ。まぁこれはちょいちょい文中に出てくる「驚異部屋(Wunderkammer)」からの連想というだけなんだが、(癖はあるものの)高山宏氏の学魔っぷりには実際憧れる。私の「驚異部屋」の発端は荒俣宏だが、まぁW宏は繋がっているので、無問題。プラス松岡正剛(と、佐藤優。毛色がだいぶ違うが最近は安田峰俊、山下泰平両氏も勝手に応援中)を加えた3学魔については、以前講演会の様子をアップしているのでそちらを参照ください。

高山宏単体については「超人 高山宏のつくりかた」を読んでの感想を以下の記事にまとめている。因みに「超人 高山宏のつくりかた」は今回「トランスレーティッド」を読み進めて、「今買わねば、いつ買うの!?」って気分になったんで買いました。(前回は図書館で借りてた。)10万円貰えるというのはなんと気を大きくすることか…

あと今まで読んできた中で一番「それーーーっ!!」ってなった箇所を引用しておきます。この「合わせ鏡の彼方にある語り得ぬもの」って、私の世界の見方と一緒ではないか!いやはや、全く同じ表現をする人がいるとはね…少し自信持てちゃうな。

多分パラドックスのもつ意味は、即ちわれわれに<彼方>の存在を自覚させることである。語りに語り、自己を狂おしいばかりに合わせ鏡に重々交映させながら、その巧緻精妙な言語構造(”Figurationen”)はいやが上にも己が<限界>をきわ立たせ、<彼方>に「語り得ぬもの」の存在をきわ立たせなければならないのだ。

P73

ここまで300ページ読んでも、後600ページある。学魔に囚われたお姫様役に戻るとするか…

References

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1 どうもZOOMに対して未だ一抹の不安が抜けないため、LINEである。大して変わらない気もするけど。

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